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新型出生前検査、学会の認定外3施設が対象疾患拡大へ…無秩序拡大に歯止め効かず

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 妊婦の血液で胎児の病気を調べる新型出生前検査について、学会の認定を受けずに検査をしている民間の3医療機関が近く、検査の対象疾患を大幅に拡大することがわかった。認定外施設の存在を問題視してきた学会は、実施施設の制限を緩和して無秩序な広がりを抑える方針だが、拡大に歯止めがかからない実態が浮き彫りになった。

 新型検査の実施に法規制はないが、学会が独自に認定制度を創設。日本産科婦人科学会(日産婦)の指針のもと、条件を満たした89施設を日本医学会が認定し、ダウン症など染色体の病気3種に限り、臨床研究として行うこととしている。

 ただ、強制力はなく、少なくとも三つの認定外施設が検査を手がけ、この3種以外にいくつかの病気も検査対象としていた。

 このうち、大阪の病院とその系列である東京の診療所の計2施設は取材に、全染色体の数の異常を調べる検査を4日から導入すると表明。これにより、20以上の病気を調べられる。5月には、染色体の一部が欠けていることで知的障害などの原因となる「微小欠失」という病気の検査も行う方針。院長の男性は「妊婦の期待に応えるため」としている。

 東京の別の認定外診療所は、染色体の数や形に異常はないが、一つの遺伝子の変異により発症する「筋ジストロフィー」などを新たに対象に加えるという。

 日産婦は先月、検査の認定条件を緩和し、一般診療として幅広く実施を認めることで、認定外施設に妊婦が流れることを抑止する方針を固めていた。

          ◇

新型出生前検査 】 妊娠10~22週の妊婦の血液中に混じる胎児のDNAを調べる。陰性なら99%病気はないが、陽性なら羊水を採取する確定検査が必要。現在は、遺伝カウンセリング体制が整った施設を学会が認定する。対象となる妊婦の条件は、〈1〉高齢(35歳以上)〈2〉過去に染色体異常の胎児を妊娠〈3〉超音波検査などで胎児の病気の疑いが判明――など。

認定外施設の規制検討を

 学会の認定を受けずに新型出生前検査を行う3医療機関が対象疾患を大幅に拡大するという事実は、この検査が商業ベースで広がり続ける現状を見せつけた。ビジネスの論理に任せていては無秩序な広がりに歯止めはかからない。何らかの規制を検討すべき時ではないか。

 新たな対象疾患として挙げられている「微小欠失」や筋ジストロフィーなどの検査は、すでに技術的には可能になっている。調べられる病気は今後、さらに増える見通しだ。

 新型検査は、結果次第で人工妊娠中絶につながる。夫婦の自律的な意思決定を支えるには、「遺伝カウンセリング」が重要で、実施施設にはそうした体制が求められる。それが担保されていない認定外施設の拡大は問題が大きい。

 日本産科婦人科学会は、大学病院などに限定される厳しい認定条件を改め、一般診療として実施施設を増やす方針を固めている。妊婦が認定外施設に流れる現状に歯止めをかけることが狙いだ。

 ただ、それで流れが止まるかどうかの確証はなく、学会任せには限界がある。国が関与して実効性ある対策を講じるべきだ。(医療部 加納昭彦)

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