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腎臓病薬で心不全治療、4月から臨床研究…心臓に届く毒素を排出

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腎臓病薬で心不全治療、4月から臨床研究…心臓に届く毒素を排出

 腎臓病の薬が慢性心不全の治療に効果がある可能性があり、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)などが4月から臨床研究に乗り出す。

 腎不全の原因となる毒素が心臓にも悪影響を及ぼしていることがわかってきたためだ。第1段階は、腎臓病を併発している心不全患者に投与。効果を確認できれば、腎臓病のない心不全患者にまで対象を広げた臨床試験(治験)を行い、新たな治療薬としての承認を目指す。

 慢性心不全の治療にはこれまで、心臓を保護したり、休ませたりする薬が使われてきたが、効果の少ない患者もおり、新しい治療薬の開発が課題だった。

 同センターの北風政史・臨床研究部長(循環器内科)らが、過去に同センターが治療した慢性心不全患者約8000人のデータを調べたところ、腎不全を併発して「クレメジン」という腎臓の薬を飲んだ約50人は、他の患者より心臓のポンプ機能が2、3割よくなっていた。

 クレメジンは腎不全の原因となる毒素を体外に排出する働きを持つ。患者らの体内では、毒素が血液に混じって心臓にまで運ばれ、心臓の組織を硬くして機能を悪化させていたとみられる。腎不全の治療でたまたまクレメジンを飲んでいたために、毒素が減り心機能が改善した可能性があるという。

 臨床研究では、腎不全を抱えた慢性心不全の患者計25人にクレメジンを約1年間、1日3回服用してもらう。その後、さらに1年間、経過観察する。クレメジンを使わない同数の患者と比べ、心機能の改善効果を調べる。

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 研究は、国立循環器病研究センターの倫理委員会で昨年11月に承認された。同センターと大阪急性期・総合医療センター(大阪市)、横浜市立大付属市民総合医療センター(横浜市)、名古屋大(名古屋市)、公立陶生病院(愛知県瀬戸市)の5施設で行う。

 クレメジンは1991年からカプセル剤などが販売されており、腎臓の薬としては安全性が確認されている。1グラムあたり100円未満で、医療費の抑制も期待できる。

 研究に先立ち、北風部長らが、腎不全を伴わない心不全だけのイヌにこの薬を与えてみたところ、心機能が2倍近く改善する効果がみられた。このため、治験の段階では、心不全だけの患者にも薬の効果を試し、より多くの患者に適用できないか調べる。

 心不全に詳しい盛田俊介・東邦大医学部教授(臨床検査医学)の話「心臓と腎臓の両方に悪さをする毒素を狙って心臓病を治すという発想は理にかなっている。新たな治療薬として期待できる」

          ◇

慢性心不全 】 全身に血液を送る心臓のポンプ機能が慢性的に悪化した状態。高血圧や飲酒など様々な原因で起きる。 動悸どうき や息切れ、呼吸困難などの症状が出る。悪化すると心臓移植以外に治療法がない。国内の患者は推定120万人。患者全体の7割が腎不全を抱えているとの報告もある。

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