宋美玄のママライフ実況中継
医療・健康・介護のコラム
新型出生前検査は「命の選別」か?
寒い日が続き、毎日登山用ズボンと普段は滅多に着ない厚手のセーターで過ごしています。早く普通のファッションにしたいのですが、風邪を引きたくないため、機能的で暖かい服を着るしかありません。子供たちは寒くても元気で、残っている雪を見ると触りに行くので、元気だなあと遠い目で見てしまいます。
ドラマ「コウノドリ」にも登場
「新型出生前検査」という名前で知られている染色体異常のスクリーニング検査「NIPT」の対象施設が大幅に拡大されるというニュースがありました。
現在行われているのは、認定された89施設です。「分娩時35歳以上」「過去に染色体異常がある胎児を妊娠したことがある」「超音波検査などで胎児に染色体異常の疑いが指摘されている」などの条件のいずれかを満たした妊婦に限るなど、ハードルは高いかもしれません。
導入時にこの検査のことがずいぶん報道されたこともあり、希望する妊婦は少なくありません。検査を行う認定外の施設もいくつかできて、専門家の間では問題となっていました。
昨年の秋に、TBS系列で放送された連続ドラマ「コウノドリ」で、認定外の施設でNIPTを行った妊婦が登場しています。私は、認定施設の数が限られていることや年齢制限があるために、認定外でしか検査を受けられない人がいることは、社会問題であると思います。
NIPTコンソーシアムの臨床研究では、NIPTを受けた約5万人に関しては、従来の羊水検査を約9割減らすことができたとの報告もあります。羊水検査には少ないながらも流産を招くリスクがあります。現行では認定施設で検査を受けられない「34歳以下」の妊婦が、リスクのある羊水検査を受けていることも問題です。
赤ちゃんの情報を親が知る手段
NIPTは「命の選別」のようにとらえられています。臨床研究では、染色体異常が確定した97%が人工妊娠中絶を選択したという結果も報道され、そのような目的で行われる検査だと認識されるのは無理もないと思います。しかし、現状のように検査が金銭的にも物理的にも制限された状態だと、NIPTを受けるのが「染色体異常の赤ちゃんは授かっても産めない。だから検査を受けたい」と考える人に偏ってしまうのではないでしょうか。
各国の調査を見ると、NIPTを導入した前後を比べ、人工妊娠中絶の率はあまり変わらないケースが多いようです。NIPTを含めた出生前検査が、「命の選別」という負のイメージでなく、「妊婦が赤ちゃんの情報を知るための選択肢」だという認識が広まってほしいと思います。
子供を授かった人が産める社会へ
新型出生前検査は、実際は赤ちゃんの状態を知る手段の一つに過ぎません。赤ちゃんが持って生まれる可能性のある病気には染色体異常でないものの方が多く、それらはNIPTでも、 絨毛 ・羊水検査でも分かりません。妊婦健診などで広く行われている超音波検査も出生前検査の一つで、NIPTなどでは分からない情報も多く得られます。NIPTですべてが分かるわけではありません。
診療の現場では「赤ちゃんの情報を知りたい」「分からないから不安だ」という方が多くいます。赤ちゃんの健康に問題があれば、親に大きな負担がかかる今の社会では、そう考えるのも自然です。赤ちゃんの情報を知りたいという人や検査を批判するよりも、子供を授かった人が、産む選択をしやすい社会になることが一番大事だと思います。(宋美玄 産婦人科医)
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