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事故繰り返すリピーター医師 「野放し」ではいけない!

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高梨ゆき子 医療部

 手術死の続発が明らかになった群馬大学病院の執刀医や元教授だけでなく、同様の問題から行政処分を検討すべきではないかと思われるケースがあります。千葉県がんセンターで、 膵臓(すいぞう)腹腔(ふくくう)(きょう) 手術を巡って問題になった外科医です。すでに同センターは退職していますが、他の病院で医師を続けているそうです。この外科医の場合、「手術がうまい」と評判だったと聞いていますが、少なくとも倫理面では問題があったと言わざるを得ないのではないでしょうか。ほかにも、行政処分や再教育の必要性を感じる例がありました。2016年12月に発覚した愛媛県今治市の産婦人科医のケースです。この医師は、重大事故を繰り返す、いわゆる「リピーター医師」でした。

お産に異常な頻度で重大事故

妊産婦の死亡が相次いだ愛媛県今治市の産婦人科診療所へ立ち入り検査に入る今治保健所の職員ら。この数か月前、同保健所は問題を指摘する情報提供を受けていたが、対応していなかった(2016年12月撮影)

妊産婦の死亡が相次いだ愛媛県今治市の産婦人科診療所へ立ち入り検査に入る今治保健所の職員ら。この数か月前、同保健所は問題を指摘する情報提供を受けていたが、対応していなかった(2016年12月撮影)

 この医師が手がけた帝王切開のお産で、09年から16年までに、妊産婦にかかわる重大な問題が4件続発していました。2人が死亡、1人が半身まひの重い障害を負い、1人は重症になって搬送先の病院で救命されました。

 日本の妊産婦死亡は、お産10万件に4人ほどと、大変まれです。この診療所には医師が1人しかおらず、お産は年130件程度だったそうで、重大事故の発生頻度は異常といえるでしょう。同じ診療所で行われた婦人科手術でも、死亡例を含む重大事故がわかっているだけで2件ありました。

産婦人科医会は再教育する方針だったが…

 これに対しては、日本産婦人科医会が調査に乗り出し、医療安全担当の役員が現地に赴いてこの医師を直接指導しました。このような対応は、同医会にとって初めてのことです。それだけ深刻な事態と受け止められたということでしょう。

 同医会は地元医師会などとともにこの医師に事情を聞き、以後、 分娩(ぶんべん) は病院に任せ、この診療所には妊婦健診を担当してもらうなど、役割分担するように提案しています。研修を受けさせるなど、再教育する方針も示していました。しかし結局、この医師は翌年の17年2月に診療所を閉院してしまいました。

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