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乾癬治療、新しい飲み薬が四半世紀ぶり登場…副作用少なく

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乾癬治療、新しい飲み薬が四半世紀ぶり登場…副作用少なく

 皮膚にかさぶたのような発疹が広がる 乾癬かんせん の新しい飲み薬が昨年、約25年ぶりに登場した。従来の飲み薬と違い、重い副作用が少ないのが特徴とされる。横浜市に住む会社役員の男性(51)は、新しい飲み薬に変えたところ、副作用の高血圧や腎機能低下から解放された。

(米山粛彦)

見た目の問題…生活上の苦労が深刻

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 乾癬は、厚く硬い発疹が頭や肘、脚などに広がり、ぼろぼろとはがれるのが主な症状。かゆみを伴ったり、爪が変形したりする場合もある。なりやすい体質に、肥満や糖尿病、ストレス、風邪といった要因が重なって発病すると考えられ、患者は国内で約40万人とされる。

 他人には感染しないが、患者にとっては、見た目の問題から生じる生活上の苦労が深刻だ。例えば、症状を見られないようにと外出を避ける、落ちた皮膚が目立つため黒っぽい服を着られない、などの問題がある。

 皮膚は、表面で新しい細胞が作られ、通常は約1か月のサイクルで古い細胞と入れ替わる。乾癬を発病すると、免疫細胞の異常で炎症が起こり、新しい細胞が過剰に増殖するため、そのサイクルは4~5日に短縮する。その結果、細胞が重なってふくらみ発疹となり、古い細胞ははがれ落ちる。

症状範囲が部分的なら、塗り薬

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 治療は薬が中心。症状の範囲が部分的なら炎症を抑えるステロイドなどの塗り薬を使う。範囲が広がると、飲み薬や、生物が合成するたんぱく質をもとに作られた生物学的製剤となる。

 昨年3月に発売された「オテズラ」(商品名)は、免疫細胞に取り込まれて炎症の原因となる物質の放出を抑え、全身に作用する。人により下痢や吐き気はあるが、重い副作用は起きにくいとされる。

 いずみ野皮ふ科(横浜市)院長の増田智栄子さんは「効き方は穏やかだが、身近な開業医に通って治療できる」とメリットを語る。

 会社役員の男性は約7年前から、従来あった飲み薬の免疫抑制薬を使ってきた。発疹はかなり減ったが、血圧上昇や腎機能低下の副作用があり、定期的に検査を受けてきた。増田さんの提案で新薬に変えると、どちらの検査値も改善した。男性は「安心して生活できる」と話す。

 飲み薬では症状が治まらない重症患者は、注射や点滴の生物学的製剤を使う。炎症物質にくっついて炎症を強力に抑えるが、作用が強い分、感染症にかかりやすくなる。B型肝炎や結核にかかると再発の恐れがあるなどいくつか課題があり、問題が起きた際に対応できる病院で主に使う。

 重い副作用が少ないとされるオテズラだが、油断は禁物だ。東京医科大学皮膚科教授の大久保ゆかりさんは「新薬は思わぬ副作用が起きることもあり、臓器への影響を調べる検査は時々受けてほしい」と話す。

悪化させないため…喫煙や飲酒は避ける

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 乾癬を悪化させないため、普段の生活では、喫煙や過度の飲酒は避け、低カロリーで魚や野菜中心の食事を取るのが望ましい。ストレスは症状悪化につながるため、趣味やスポーツで気分転換することも大切だ。

 皮膚を刺激しないよう入浴時は強くこすらず、せっけんを泡立てて軽く洗う。風呂は熱いとかゆみが増すので、40度までのぬるめがよい。増田さんは「乾燥を避けるために保湿剤を塗るのも大切」と話している。

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