うつ病
シリーズ
死別ケア(2)夫が自殺 20年続く悲しみ
年の瀬の神戸港に臨む公園で、神戸市の主婦B子さん(43)は瀬戸内海から吹き寄せる潮風を胸いっぱいに吸い込んだ。冷たくも心地よい。自宅から30分ほどのこの場所も以前は、死別による心の傷で来ることさえ難しかった。
1997年5月、B子さんの夫(当時23歳)は自ら死を選んだ。3か月前に長女が生まれたばかりだった。
前年の春に結婚後、しばらくして夫は飲みに出かけたまま朝帰りするように。長女の誕生後も続き、頭を冷やしてもらおうと、B子さんは実家に戻った。離婚するつもりはなかった。
夫が自殺したのは、その2週後。遺書には「すべてを捨ててしまった私を憎んでください」とつづられていた。頭が真っ白になり、涙は出なかった。
数か月後、異変が起き始めた。突然、心臓を串で刺されたような痛みが走った。それから頭痛や胃痛、じんましんなどに悩まされるようになった。
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