すてきオン&オフ
医療・健康・介護のコラム
[コムアイさん]母を亡くした19歳の夏
NHKの子ども番組向けに作った新曲「江戸っ子どこどこ」は、「豆腐の角に頭ぶつけてきやがれ」なんて、けんかをする時の言い方にもユーモアがある江戸言葉を歌詞にした、楽しい歌です。小さな子どもが歌ってくれたらかわいいな、と思う曲になりました。
幼い頃から、父は、私の好奇心を大切に育ててくれました。「何で右から開く本と左から開く本があるの?」なんて聞くと、「気になるね、一緒に調べよう」と、私の「何で?」をすごくほめてくれたんです。
高校生の夏休みには、好きなダンスがきっかけで興味を持ったキューバへの旅行を許してくれました。日本と違う国を見てみたかったんです。父に何かを止められたり、考えを押しつけられたりした記憶はなく、とても感謝しています。
19歳の夏、がんで闘病していた母を自宅で 看取 りました。危ない状態になり、海外に行っていた弟を急いで呼び戻したのですが、母は、家族がそろうのを待ってくれていたかのように、弟が帰宅したその日に息を引き取りました。
でも、家族で私が一番、看病をしなかったんです。ちょうど音楽活動を始める準備で、「今、頑張らないと」という時期でした。後悔すると分かっていても、「自分の人生、一歩も譲りたくない」と音楽を優先することを決めたんです。もし、少し大人になった今だったら、もっと休みを取ってできるだけ付き添っていただろうな、と思うことがあります。(聞き手・滝沢康弘、写真・奥西義和)
音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」のボーカル・パフォーマンス担当。1992年、神奈川県出身。昨年の日本武道館公演を収録したブルーレイも発売中。
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