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安田記者の「備えあれば」

コラム

家族信託 後見よりも自由

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家族信託 後見よりも自由

デザイン部・小林早希

 このコラムで後見制度を取り上げたところ、読者などから「家族信託」も紹介してほしい、という意見をいただきました。

 信託というと、投資信託や信託銀行を思い浮かべますが、家族信託はこれらとは関係ありません。信託法に基づく財産管理の手法で、最近注目されています。

 私の母(76)のケースを想像してみました。自宅と預金を持っている母が、認知症になって判断能力が衰える前に、長男である私と家族信託の契約を結ぶとします。内容は、〈1〉母の判断能力が衰え介護施設に入ったら、自宅を売ってその費用に充てる〈2〉母の死亡後、預金などの財産はすべて私が相続する――。家族信託なら、これらをまとめて実現できます。

 家族信託を利用せずに行うとしたら、〈1〉では後見制度を使い、〈2〉では遺言が必要になります。

 自宅の売却は後見制度でもできますが、家庭裁判所から許可を得なければなりません。自宅売却が母のためになるかどうか、家裁は厳密に調べます。後見制度はあくまでも、判断能力が低下した本人の財産を守ることが目的だからです。

 司法書士や弁護士などの専門家が後見人になった場合には、母が亡くなるまで、報酬(月2万~6万円程度)を支払う必要もあります。家族信託なら、家庭裁判所の許可も、後見人への報酬もいりません。

 また、例えば、先祖代々の土地を子へ、子の死後は孫へ相続させることも、家族信託で決めておけます。遺言では、この場合、子までしか指定できません。

 静岡市の行政書士、石川秀樹さんは、「家族信託は、財産を守る、活用する、 のこ す――をワンストップで行える」と強調します。

 財産を託す相手は、友人や知人でもかまいません。家族信託コーディネーターの横手彰太さんは、「信頼できる人かどうかが重要。信じて託す関係がなければ、身内でも契約を結ぶべきではない」と話します。

 家族信託の契約は、制度に詳しい司法書士や税理士などに相談するとよいでしょう。費用は、信託する財産の1%程度が目安です。(社会保障部 安田武晴)

 このコラムでは、父親を見送った記者(48)が、最期に備えるための情報をお伝えしています。

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安田武晴(やすだ・たけはる)

2002年から社会保障部。介護、年金、障害者支援、地域福祉、終活などを取材。13年、社会保険労務士国家試験合格。妻、愛猫「しじみ」と暮らしている。

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