その医療 ホントに要りますか?
医療・健康・介護のコラム
風邪に抗生物質は効きません!
使いすぎで「薬剤耐性菌」が問題に
厚労省が手引きを作成したのは、抗生物質の使いすぎで、薬の効かない「薬剤耐性菌」が問題になっているからです。耐性菌は治療が難しく、英国では年間約5000人、米国では2万3000人が死亡しているといいます。日本でも英米同様に多数の人が命を落としているとみられます。風邪など軽い症状に乱用していると、肝心な時に効かなくなってしまうのです。
厚労省は、抗生物質の使用量を2020年までに3分の1減らすことを目指しています。それだけ不適切な使用が横行しているともいえるでしょう。
残念ながら、風邪と薬に関する知識は広まっていません。手引きの作成に当たった国立国際医療研究センター国際感染症センター長の大曲貴夫医師らが、一般市民にインターネットでアンケートしたところ、「風邪に抗生物質が効く」という誤った回答が44%に上りました。
「薬が必要な状態ですか?」と尋ねましょう
では、医師から「風邪ですね。抗生物質を出しておきます」と言われたら、どうしたらいいでしょうか。筆者は「風邪なら必要ありません」と断っています。それで角が立つことはないと思いますが、言いにくいかもしれません。大曲医師は「風邪に抗生物質は効かないと聞きました。薬が必要な状態ですか?」と聞くようにアドバイスしています。
無用な薬は患者の医療費負担を増やし、副作用被害も招きます。自らの健康を守るために、医師に対してしっかり尋ねることは大切ですね。(田中秀一 読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)
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間違いを信じ込んだ人間があなたの前にクライアントとして現れたとします。
あなたはそれが間違いであると指摘するでしょうか?
指摘すれば正義は守れますがお互いに疲弊します。
指摘しなければ疲弊しませんが正義は守れません。
私は疲弊していなければ指摘しますが疲弊していれば指摘しません。
これは医師が人間である限り避けられない医療の仕組みです。
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一般の方には知られていないのかもしれませんが、風邪は厳密には他の類縁疾患の可能性を除外して得られる結果で、積極的に風邪を診断するのは邪道です。
家族や本人や開業医師が「多分風邪」と口にする時は、「あまり重症ではなさそうだ」という意味合いの方が強いです。
感冒には感冒薬による対症療法が一般に広く受け入れられており、市販薬もそういう系統のものが多いです。
言い換えれば、風邪や感冒という病名に対する意味や理解が複数存在しているということです。
「細菌感染よりはウイルス感染をより疑い、暫定的に風邪と診断」
僕は咳の有無や喀痰の色をもう一つの指標にして、対症療法ないし投薬無しで経過観察としますが、患者さんが改善するまでは何とも言えませんよね。
本文にもあるように、咳や咽頭通、鼻汁を来す病原菌や疾患は他にも沢山あるからです。
病名ありきか、症状ありきか、軽症であれば雑な運用でもいいですが、雑な運用をしている確信犯で考えないといけません。
そういう意味で、診断や治療を巡る考え方も様々です。
僕は元放射線科ですから、全身の連関に対して敏感で、可能性の極めて低い可能性も捨てずに考える傾向があります。
また、各科専門医や感染症専門医との分業やサポートを意識しています。
そういう意味では、一般の開業医さんと考え方も異なるかもしれません。
それでも、医師や診断治療戦略の多様性や総論を知っているだけでも、医師選びのヒントになるのではないかと思います。
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