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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

複雑な救済制度…視覚障害者の「門前払い」を防ぐには

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複雑な救済制度…視覚障害者の「門前払い」を防ぐには

 これまで、このコラムで何回か指摘してきましたが、視覚障害者に対する日本の救済制度は複雑です。急に障害者になった人が、生活に不自由さを抱える中、自分だけでこの救済制度を利用できるところまで到達するのは容易ではありません。

 しかも、障害を持った当事者が最初に相談するのは、おそらく医師や病院・医院のスタッフだと思いますが、これらの人たちは診断・治療に関する専門家ではあっても、複雑な救済制度を理解したうえで患者に適切な情報を提供できるほどの知識を持っている人は少数です。結局は、当事者が自分で見つけてくるしかないのです。

障害者に寄り添うよりも…行政側は不正申請チェック?

 最近の年金支給漏れのニュース「 年金機構のミス2万5426件…現在も月平均100件 」をみても、当の年金機構側が制度への誤解などからミスを発生させています。素人である一般の国民にとって、現在の社会保障制度が複雑すぎるという欠陥があることは明らかです(「 年金支給漏れ どう確認…改定通知書に振替加算額 」)。

 いったい、省庁、地方自治体、年金事務所など行政機関の窓口担当者は、相談者に寄り添い、少しでも社会保障のセーフティーネット(安全網)を機能させようという姿勢で、最新の知識や制度を勉強して対応しているのでしょうか。

 それらの担当者は多忙なこともあるかと思います。しかし、当事者が実際どれだけ不自由な生活を送り、どれだけ困っているのかについて考えて対応することよりも、制度を運用する法律などの文字 づらにら んで、障害者からの申請がそれに合致するかどうかや、不正に申請しようとしていないかを厳密に調べることを求められているように見えてしまいます。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。北里大学医学部客員教授、日本神経眼科学会理事長などを兼務し、15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ、副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人---心療眼科医が本音で伝える患者学」(春秋社)、「健康は眼に聞け」(同)、「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、医療小説「高津川 日本初の女性眼科医 右田アサ」(青志社)、「茅花流しの診療所」(同)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半には講演・執筆活動のほか、NPO法人などのボランティア活動に取り組む。

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