在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活
医療・健康・介護のコラム
食べすぎる前の「準備食」、食べすぎた後の「反省食」
新年あけましておめでとうございます。みなさんはどんなお正月を過ごしましたか? 忘年会や新年会が続き、ついついごちそうを食べすぎて、体重が増加傾向の方が多いのではないでしょうか。かくいう私も、冬休み中でさほど動かないのに、「栄養とお酒」はしっかり摂取してしまいました。
「食べすぎは良くない」と、耳にタコができるほど繰り返されているフレーズ。分かっていても、食べすぎてしまうのが「食いしん坊の性」です。
年末、イタリアンレストランに入った私と友人(管理栄養士)は、まずパスタ、次にピザとリゾットを注文。さらにデザートには「ドルチェピザ」という、数種類のチーズと蜂蜜がたっぷりとかかった「スイーツ風のピザ」で仕上げました。管理栄養士という立場を忘れて、本能の赴くまま炭水化物ばかり楽しんでしまったのです。仕事では朝から晩まで栄養バランスばかり考えている毎日。たまにこんな食事でストレスを発散しています。
しかし、私も友人も健康診断で基準値を外れることはありません。それは、ごちそうを食べる前の「準備食」と、食べすぎた後の「反省食」にポイントがあるのではないかと思っています。
食べすぎる前の「準備食」のすすめ
一般的なフランス料理のフルコースのエネルギー量(カロリー)をご存じでしょうか。メニューにもよりますが、約1500~2000キロカロリーです。バターや生クリームなどをたっぷりと使用しているため、1食で成人女性の1日分のエネルギー量に相当します。居酒屋の「飲み放題付きコース料理」も、揚げ物が多く使われていることで同じようなエネルギー量になることがほとんどだと思います。
「今晩はガッツリ」があらかじめ分かっている場合は、その前の食事を控えめにします。
例えば、昼食に「天ぷらそば」といきたいところを、「おろしそば」でおさえてみたり、「カツ丼」の誘惑を断ち切って「鉄火丼」にしてみたり。宴会に向けて「エネルギー摂取量」を調整します。
こうした「準備食」のポイントは、「揚げ物・ 炒 め物以外の調理法で、食材は肉よりも魚や豆腐を使った料理」です。できれば、ごはんを半量にするなど、量も減らすとさらによいでしょう。宴会のコース料理の場合は、おかずが多いため塩分量も増えてしまいますので、朝食や昼食に減塩しょうゆや減塩 味噌 を使うと、1日の塩分摂取量もセーブすることができます。
どんなにしっかり準備をしても、おなかが苦しくなるまで食べてしまった後は、「ああ、またやってしまった……」と結局は反省することになるのですが、おいしいものを目の前にして、食欲を制御する強い精神力は私にはありません。
食べすぎたあとの「反省食」で調整を
私にとっての「ごちそう」と言えば、「焼き肉」や「すきやき」などの肉料理なのですが、肉類には「飽和脂肪酸」という、血中のLDLコレステロールを増加させる脂肪が多く含まれています。LDLコレステロールが血液中に増えると、心疾患や脳卒中など血管系疾患のリスクが高まることが分かっています。そのため、肉料理をたくさん食べたあとの食事は、青魚や白身魚を使った焼き魚、お刺し身、ホイル蒸しなどにする。それが私の「反省食」です。
魚には「多価不飽和脂肪酸」という脂肪が多く含まれています。これには、血中のLDLコレステロールを低下させる働きがあります。さらに、ごはんの量は 茶碗 の半分にしたり、こんにゃくやキノコ類など「エネルギーゼロ」の食材で小鉢を用意したり、食事全体のエネルギー量を抑える工夫もします。
お餅、おせち料理の黒豆、煮しめの里芋、きんとんなど糖質を多く含む料理をたくさん食べてしまった方は、いつもより少しご飯を控えめにしたり、お 粥 に替えたりすると摂取エネルギー量を減らせます。
年末年始に食べすぎてしまった方は、「反省食期間」を少し長めにとっていただくといいかもしれません。
「反省食」とはいっても、食材や調理法、全体の食事量に気を付けるだけで、「美味しく食べる」ことには変わりません。「美味しい反省食」であれば、ゆるっと一生続けられるので、お勧めです。大切なことは、「食べすぎ」を毎日、長期間続けないこと。食生活にもメリハリをつけて、ゆるっと楽しく今年も一年健康に過ごしたいものです。(塩野崎淳子 在宅訪問管理栄養士)
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