医療大全
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【子どもを守る】親の思い(3)生きているだけで満点
元NHKダンスのおねえさん いとうまゆさん
「今日からずっとお母さんなんだ」
2015年9月、ダンスインストラクターのいとうまゆさん(37)は、予定より約2か月早く生まれた娘の姿に胸がいっぱいになった。身長38・5センチ、体重1511グラム。小さいけれどしっかりした顔立ち。新生児集中治療室(NICU)の看護師に促され、夫(29)と交代で保育器の窓から手を入れ、そっと体をなでた。
翌日から、搾った母乳を持ってNICUに通った。妊娠中に歌っていた童謡を小さな声で口ずさむと、体をびくっと動かした。通じ合えた喜びをかみしめた。
幸い経過は順調で、1週間で点滴が外れた。2週間たつと心拍や呼吸も安定し、初めて抱っこができた。
面会のたび、看護師が「保育器で大暴れしていましたよ」などと教えてくれ、「元気でいてくれてありがとう」と娘に感謝した。
つらい時もあった。ある日、NICUに大きな泣き声が響き渡っていた。娘を医師や看護師が囲み、早産児に注意が必要な目の病気の検査をしていた。大勢で体を押さえ、器具で目を開き、眼底を調べる。
思わず目をそむけた。「痛いよね。小さく産んでごめんね」
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