いきいき快適生活
介護・シニア
のみ込む力、日頃から鍛錬…のどの老化、誤嚥招く
カラオケ、おしゃべりお勧め
食事中によくむせたり、大きな錠剤を服用しにくくなったり、「のみ込む力」が弱くなったと感じることはないだろうか。食べ物が食道でなく気管や肺に入る
横浜市南区の「西山耳鼻咽喉科医院」には、「食事中や食後によくせき込むようになった」「水を飲むと必ずむせる。このままでは食べられなくなってしまうのでは……」などと訴えて来院する人が多い。特に70代、80代の男性が目立つという。
院長の西山耕一郎さんは「こうした症状の原因は、のどの老化です」と指摘する。
のど(
「一連の動きは、まるで奇跡の連携プレー。年をとってのどの神経と筋肉が弱くなると動きが悪くなり、タイミングがずれてしまう。気管のほうに隙間ができて誤嚥しやすくなります」と西山さん。
水などの飲み物は、筋肉が動く前にさっと流れ込んでしまうため、むせやすいそうだ。
誤嚥は肺炎の原因にもなるため、西山さんは、日頃からトレーニングを呼びかけている。「のどの動きを意識してのみ込んだり、カラオケで歌ったりするのもお勧め。男性は会社を辞めると途端に会話が減る人も多いので、普段からおしゃべりを楽しんで」とアドバイスしている。
餅は一口サイズ
餅を食べる機会が増える正月は、毎年、餅をのどに詰まらせて救急搬送されるケースが多い。東京消防庁のまとめによると、65歳以上の高齢者が約9割を占めている。
国立国際医療研究センター病院(東京)で、のみ込む力などのリハビリテーションに携わる医師の藤谷順子さんは、「食べ物を送り込む力だけでなく、のどに詰まったものを押し出す力も弱くなるため、窒息が増える」と説明する。よくかまないでのもうとするのも原因だ。餅に限らず、握りずしやいなりずしなども詰まりやすいという。鶏肉やまんじゅうなども要注意だ。
餅を食べるときは、一口大のサイズや薄い形に切ったり、焼いてあられのようにして、汁に入れたりするとよい。雑煮は、具と汁を別にして口に入れるほうが、のどに詰まるのを防げるそうだ。
「かんでいる最中に話しかけると、慌ててのみ込もうとしがちなので、のみ込んだことを確認してから話しかけましょう。詰まった場合は一刻も早く救急車を呼ぶとともに、応急処置について尋ねましょう」と藤谷さんはアドバイスする。
(2017年12月29日 読売新聞朝刊掲載)
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