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コラム

[日本チャイルドボディケア協会代表 蛯原英里さん](上)母乳育児にこだわった日々 思いつめて感情が爆発

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 ベビーマッサージを指導し、いつも明るい笑顔でママたちに寄り添う蛯原英里さん。モデル・蛯原友里さんの双子の妹です。子育てに奮闘するママたちへの共感とエールを忘れないのは、英里さん自身、娘さんを出産後に悩み苦しんだ経験があるから。そのとき、医師の「ある言葉」に救われたそうです。(聞き手・中島久美子、撮影・三浦邦彦)

「完全母乳じゃなきゃ!」

――2014年8月にお嬢さんを出産されました。初めての育児に不安はありませんでしたか。

[日本チャイルドボディケア協会代表 蛯原英里さん](上)母乳育児にこだわった日々 思いつめて感情が爆発

 私も夫も大丈夫と思っていました。看護師としてNICU(新生児集中治療室)で6年勤務していたので、オムツ替えとか 沐浴(もくよく) とか抱っことか、一通りのことは身についていました。そのあたりはスムーズだったけれど、思いがけず母乳で苦労しました。

――妊娠中から母乳育児をしたいと思っていたのでしょうか

 もちろん。NICUで働いていたときは、わが子と離れているママたちが搾って持参した母乳を、大切にあげていました。母乳は免疫物質も豊富だし、消化も良く、赤ちゃんの成長に一番の栄養だとよく知っていました。

 だから自分も「完全母乳じゃなきゃ」と思っていました。1週間で退院したら授乳中心の毎日に。疲れと寝不足で、想像以上に大変でしたね。

「ちゃんと足りているかな」と不安に

――授乳中心とは、具体的にどんなサイクルだったのでしょう。

 娘が泣いたら授乳して、眠ったら電動の機械で搾乳します。搾った母乳は、専用の容器に入れ、キャップに日時を書いたシールを貼って冷蔵庫へ。育児ノートに、授乳や搾乳の記録を書いて一息つこうと思ったら、また娘の泣き声で授乳に入るという毎日です。

――搾乳もしていたのですね。

 搾乳することで母乳の出を良くしたいと考えました。妊娠中に、母から「母乳が出にくかった」と聞いていたので、「自分も同じかもしれない」と心配になり、搾ることにしました。「ちゃんと足りているかな」と不安を抱きながらも必死でした。夫や母がサポートしてくれたけれど、1週間で気持ちが爆発してしまいました。

――どんなタイミングで爆発したのですか。

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当時、英里さんが記入していた育児ノート。一日の目まぐるしさがうかがえる

 産院の母乳外来に行って、娘の体重をはかったら100グラムちょっとしか増えていない。1日あたりだと10グラムちょっとずつ。1日20~30グラムぐらいが理想なのに。全然増えていない、と目の前が真っ暗になりました。

 助産師さんのアドバイスでミルクを足すことを決めたその夜、どうにもこうにも涙が止まらなくなったのです。「母乳も満足に出ない駄目なママ」と思いつめてしまって。夫が「そんなことないよ」と言ってくれたけれど、耳に入りませんでした。

「一滴でも立派な母乳育児です」

――つらい毎日を救ってくれた言葉があったそうですね。

 産後1か月の時の娘の健診です。小児科医の先生に、「気になることは?」と聞かれて、母乳育児がうまくいかない悩みを打ち明けました。先生はずっと聞いてくれて、最後にこう言ってくれました。「頑張っていますね。一滴でも立派な母乳育児ですよ」って。夫婦で、はっとしました。

 今思えば、心が病んでいました。体重の伸びは鈍かったけれど、決して母乳が全く出ていないということはなかったし、娘は元気でした。自分が頑張っているなんて、思ってもみなかった。「頑張れ」じゃなくて、「頑張っている」と認めてくれる。その時の私に必要な言葉をかけてくれたと感謝しています。

――すてきな言葉ですね。

 はい、心が楽になりました。夫は、私の姿を見て、「こんなに育児って大変なんだ。どうすればいいのか」と内心思っていたようですが、この言葉で「もやもやが晴れた」と言っていました。1か月を過ぎると母乳の出もよくなり、体重も順調に増えていきました。ミルクもあげていましたけれど、以前のような罪悪感は消えました。

――1年後、ブログに当時の体験を (つづ) られました。「ミルクをあげることだって立派な育児。娘は母乳とミルクの混合です」とあります。

 「こうあるべき」と思いつめて苦しんでいるママがいると思い、書いてみました。母乳に限らず、わが子が大切だからこそ、一生懸命だからこそ思いつめるママは少なからずいます。そんなママに共感して、認める言葉をかけてほしいなと思います。私自身も、教室に来たママから育児の相談を受けます。まず、頑張りをねぎらうことから始めています。

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えびはら・えり
 1979年、宮崎県生まれ。千葉県内の看護学校を卒業後、同県内の病院のNICU(新生児集中治療室)に6年間勤務。その後、一般企業に勤務している時に、ベビーマッサージと出会う。2015年、日本チャイルドボディケア協会を設立。「ふれ愛」をキーワードに、都内でベビーマッサージやリトミックなどの教室を開催している。双子の姉はモデルの蛯原友里さん。

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