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心臓移植を待つ早大生 大樹さん 無念の死

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補助人工心臓の機械を説明する鈴木さん(12月1日撮影)

補助人工心臓の機械について説明する鈴木さん(12月1日撮影)

 鈴木希 医療部

 心臓移植の機会を待ち望んでいたある大学生が、12月26日、この世を去りました。

 早稲田大学(通信制)1年生の鈴木 大樹たいき さん。まだ20歳の若さでした。

 大樹さんは、「左室緻密化障害」という重い心臓の病気を抱えていました。心臓移植よりほかに治療の道はなく、高校3年生の時から補助人工心臓を体に植え込み、移植のチャンスを待っていたのです。けれど、その希望はかなうことなく、重度の不整脈を起こして自宅で亡くなりました。

 彼とは、読売新聞の生活面に常設されている企画「医療ルネサンス」の取材で知り合いました。臓器移植法施行から20年を迎えた2017年、年間テーマとして取り組んだ「臓器移植法20年」の最終シリーズ「生きたい」の第2回に、彼が登場しています。その記事が掲載されたのは12月14日朝刊。それから2週間もたたないうちの悲報でした。

 大樹さんの病気がわかったのは高校生の時。高校生といえば、勉強、遊び、恋愛と、青春真っ盛り。それなのに、病気は生活を一変させました。野球やハンドボールをしてきたスポーツマンで、友達付き合いも盛んだった鈴木さんにとって、同世代とあまりに違う日常に悔しさもあったそうです。「周りに気を使わせたくない」という思いもあり、一時期は病気について口を閉ざしました。先輩患者からアドバイスを聞くうち、自身の経験も誰かの役に立つかもしれないと、昨年から患者会などにも参加していました。

大学での学びが目標

 12月1日のインタビューの時、大学で講義を受けることが目下の目標と話していました。常に介助者が一緒にいなければならず、自宅で通信制の講義を受講していたためです。ゆくゆくは社会福祉士の資格を取り、同じように病気に立ち向かう人の手助けをしたい、それが夢でした。自身の病気や補助人工心臓の仕組みについても詳しく勉強していたのが印象的で、目を輝かせて具体的に教えてくれた姿が、今も目に浮かびます。

 心臓移植は脳死ドナー(臓器提供者)からしか受けられません。2017年は、脳死での臓器提供は70件を超え、前年より増えました。しかし移植を待つ患者も急激に増加し、待機期間も延びています。10年中に日本臓器移植ネットワークに登録した心臓移植の待機者は162人でしたが、16年には556人。この年、待機中に亡くなった患者は35人に上りました。植え込み型の補助人工心臓に保険が適用され、多くの人が自宅で生活しながら待てるようになったことが、待機者数の急増につながりました。今年はさらに増え、11月末時点で653人となっています。

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