宋美玄のママライフ実況中継
妊娠・育児・性の悩み
息子のイヤイヤ期と格闘しています
12月半ばから、2歳の息子、もうすぐ6歳の娘、私、夫の順に、家族全員がウイルス性腸炎にやられました。大人の症状は子供たちほどではなかったものの、ただでさえ満身 創痍 で子育てと仕事をなんとか両立しているのに、予定通りに物事が運ばなくなって 辛 い思いをしました。
虐待疑われるほど泣いた娘 今は愛嬌たっぷり
息子が2歳になった頃から、イヤイヤ期がひどくなってきました。
上の娘のイヤイヤ期は、それはそれは大変でした。期間も長く、4歳の初め頃まで続きました。途中から「イヤイヤ」なのか 癇癪 なのか、よくわからなくなるほどでした。母乳にまつわる苦労など、それまでの私の愚痴は、「わかる、わかる」と親同士の共感が得られるものばかり。ところが、娘のイヤイヤ期のエピソードは、朝起きるところから、着替え、食事、登園、下校、お風呂に入る、お風呂から出る、歯磨き、就寝までの全てを激しく嫌がり、ご近所に虐待を疑われそうなほど泣き続ける……というもの。ブログを読んだ人たちの反応は、「うちの子はそこまでじゃないので分からない」「御愁傷さま……」というもので、「うちの娘は普通じゃないんだ」と大変落ち込んだものでした。
児童精神科のドクターに相談し、多少の個性はあれど「イヤイヤ期はあるのが正常」と言ってもらったことに救われ、なんとか時期が過ぎるまで乗り切ることができました。現在、娘は年齢よりも多少幼稚っぽいところはあれど、天真 爛漫 で 愛嬌 たっぷりです。
そんなわけで、乳児の頃はよく飲みよく寝て「おっとりさん」と言われていた息子が、2歳を境にイヤイヤ怪獣に変身しても、娘のときほど 狼狽 したりしません。
「ママが仕事をしているせい」ではない
イヤイヤ発作を目の当たりにしても、「あんたは○○(娘の名前)か」とツッコミを入れたりしています。それを見た娘はいろいろと感じることがあるようで、「今は大丈夫でしょう?」と、自分が今は親をわずらわせていないことを確認しては、ホッとしています。弟に手がかかっている間、娘はお利口にしていたり、弟をなだめようとしてくれたりしていて、娘の成長のきっかけになっていると感じます。
子供たちのイヤイヤ期について愚痴を言うと、だいたい2種類の反応が返ってきます。一つは、「あなたの子供だから」というものです。しかし、私の母によれば私が2歳くらいの頃は育てやすい子で、そのような苦労はなかったということです。
もう一つは「ママが仕事をしているせいではないですか」というものですが、共働き夫婦の子供でもイヤイヤ期があまりない子もいますし、個人差の大きいきょうだいもいるので、そんな単純なものではないと言いたいです。
その他、「今だけだから」「すぐに過ぎ去って懐かしくなるよ」と慰めてくれる人もいるのですが、渦中にいる人にとっては何の救いにもならないことを改めて実感しました。
そんなわけで、今年最後のコラムは愚痴ばかりになってしまいました。2人の子育てと仕事で能力の限界を超える毎日ですが、今年も家族全員生き延びて新しい年を迎えられそうなことに感謝したい思いです。
来年も頑張ってコラムをお届けしますので、よろしくお願いいたします。(宋美玄 産婦人科医)
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親に言わせると私は、イヤイヤ期が長かった扱いづらい子供だったようです。
下の兄弟が歳が近く、親も大変だったでしょう。
実際かなり困ったそうです。
すまなかったなあと思います。
イヤイヤ期間は長いと疲れますね。
なんの慰めの言葉も意味がないのですけど、
イヤイヤ期間と似た?ような事がこれからもあるように思います。
思春期の反抗期、小学校中学年から高学年の自立の心の芽生えとか。
きれいごとでしょうが、きっと心が成長しているんだけれど、
周りにはそうは見えず、駄々をこねていたり、
大きくなれば親にババア、なんていったり。
人間の成長って曲がりくねってわかりづらいですね。
先生、寒いご時世どうぞお体おいといください。
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主観的意見と客観的意見の混在する本文から、いつも通りの宋先生の愛情と産科向きの短気がうかがい知れて面白いです。
親子の様々な事件や関係者との関係性や距離感によって、意見はまるきり変わることでしょう。
文章では察知しえない心の機微を当該児童精神科医はキャッチしていたに違いありません。
多くの医師は病人や病気ばかり相手にしているので積極的に発見にかかりますが、疾患の否定や境界領域の経過観察なども重要です。
明確な基準では捉えきれない子供の心理や成長の複雑性の問題に振り回されるのは、ある意味で正常な親としての反応ではないかと思います。
なだめる時や叱る時に、そんな事をいちいち気にしてられないのが普通ですが、親が仕事をしていること、医師であること、開業したこと、プチ有名人であることは必ず良い影響も悪い影響も子供に与えると思います。
有名声優が無くなった影響で、懐かしのアニメを見たり、思い返しています。
独身のせいかもしれませんが、学生時代から生活環境や頭の中は変わっても、心の中は変わっていない部分もあると思い知らされます。
お子さんの目に映る宋先生は、ママでしょうか、お母さんでしょうか、おかんでしょうか?
今見えている個人や集団への否定行動は、集団との距離感を覚えて大人になっていく正常な発達過程でしょう。
ロシアなんかだと凍死させないためにぐるぐる巻きにして育ててしまうらしいですけどね。
サッカーも人生もミスが前提のゲームです。
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宋先生のご活躍、いつも各種メディアで拝見しております。腸炎は家族の中で誰かがかかってしまうと予防が難しく、かつ対応はハードで辛いものですよね。 ...
宋先生のご活躍、いつも各種メディアで拝見しております。腸炎は家族の中で誰かがかかってしまうと予防が難しく、かつ対応はハードで辛いものですよね。
私自身は今回のコラムのような場面で、「あなたの子だから」とも「仕事をしているから」とも返答したことはないのですが、単純に何と応じればいいんだろう…と悩むことがあります。
イヤイヤ期はあるのが正常、というのも児童精神科という信頼できる専門家の方のお答えだから安心できるのであって、友人や親族から言われても心に響かない…どころか会話としては結構トンチンカンというか、上から目線な返しになるかな?と思ってしまいました。
さりとて、相づちを打ったり、「お疲れさま」と当たり障りなく返したりするのを繰り返しても、話す側の心が軽くなるとは思えず…でも、意外とその方が良いのでしょうか?ちゃんと聞いてないと思われるのが辛くて、実践が難しくは感じますが。
自分だったら、とにかく2時間子ども預かるからママは羽伸ばしてきな!みたいなカッコイイ返しをもらえるとめちゃくちゃ嬉しいけど、相手によっては気を遣わせるかもしれないし。
何でもパターンにはめればいいということではないのは百も承知ですが、もし例があれば次回に活かしたいのでご教示ください。
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