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【いのちの値段】精神疾患(6)「地域で暮らす」を支援

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 母(81)を東京に引き取った独身で会社員の一人娘(53)は、追いつめられていた。2016年9月。不安神経症で軽い認知症の母の感情を抑えられない。

 「通帳を返せ!」。携帯電話に1日で200回近い着信がある。通帳を娘にとられたという強い妄想がある。病院に連れて行きたいが、病気の自覚がない母は受診を拒否する。メンタルクリニックで出る薬も飲まなくなっていた。

 相談した先はみな冷たかった。保健所は「暴れるような重症でなければ入院は無理でしょう」。区の地域包括支援センターは「お金の問題なら成年後見制度の案内を送ります」。ケアマネジャーは困惑するばかり。生活が破綻寸前なのだと理解してもらえない。

 医療と福祉の間に大きな溝がある。認知症の症状や介護度が「軽い」ために、当事者や家族は孤立し、サポートから排除される。

 受け入れてくれたのが、一時、母が通院していた精神科病院「都立松沢病院」(898床)の主治医(53)だった。母はこの主治医にも妄想を持つ。「私を精神病にした!」と困らせたが、妄想が激化する前のタイミングで認知症病棟に入り、薬の治療や母の自尊心を保つケアが進んだ。

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