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法定後見人 第三者が7割

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法定後見人第三者が7割

デザイン部・小林早希

 前回、認知症などで親の判断能力が低下した場合に備え、後見制度について説明しました。判断能力が十分なうちは「任意後見」、衰えたら「法定後見」と制度が整っていますが、特に、法定後見について「使いづらい面がある」という声を聞きます。

 法定後見では、家庭裁判所が後見人を決めます。司法書士や弁護士などの第三者が選ばれるケースが7割で、身内が選ばれるのは3割。「見ず知らずの司法書士や弁護士が親の財産を管理するなんて……」と、抵抗を感じる人もいます。

 後見人の報酬は裁判所が決め、月2万~6万円程度がめやすです。多くの場合、親が亡くなるまで後見は続くので、10年間だと計240万~720万円。身内が後見人に選ばれても、後見人の業務をチェックする監督人に月1万~3万円程度の報酬を支払います。

 また、後見人はあくまで、後見の対象となる本人のために仕事をします。本人の財産を守る義務があるのです。家族の利益のために、本人の財産を贈与したり、投機的に運用したりすることは原則できません。

 4年前に亡くなった父のケースでは、後見制度を利用しませんでした。父の判断能力が低下した後、病院の手続きや買い物などの日常的なことは、母が代行。亡くなる半年前、老人ホームに入居した際には、私が施設と契約しました。もろもろの費用は、私や母が自分のお金から支払いました。このため、後見人を付ける必要がなかったのです。

 費用の支払いに、父の預金を充てるとしたら、後見人が必要になったと思います。父の口座から勝手にお金を引き出すことは、母や私にもできないからです。

 そのほか、どのようなケースで後見制度を利用するのでしょうか。

 司法書士でつくる公益社団法人「成年後見センター・リーガルサポート」の西川浩之専務理事は、「ATM(現金自動預け払い機)の操作ができない、通帳や印鑑を紛失するといったことが重なると、後見人を付けるよう銀行から求められることが多い」と話しています。(社会保障部 安田武晴)

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 このコラムでは、父親を見送った記者(48)が、最期に備えるための情報をお伝えしています。

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