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【いのちの値段】精神疾患(5)対話を重ね怒り「手放す」

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 てるさん(51)は、20年近くレッテルを貼られてきた。「統合失調症だ」「統合失調感情障害だ」「社会復帰は無理です」……。

 入退院を繰り返し、1日4回、6~7錠の薬を服用した。副作用で意識が飛ぶ。思考がまとまらず、気持ちを言葉にすることもできない。時に暴力的になる。絶望し、死を考えた。わずか3分間の診療時間。すがるように苦しさを訴えたが、病院の精神科医は妄想を消すことにしか関心がない。

 昨年、千葉県市川市に拠点を置く「包括型地域生活支援プログラム」(ACT)チームとの関係が深まった。病院の枠にはまらない、多職種の専門家チームで、医師や看護師、精神保健福祉士らが患者宅を訪ねる。重い精神疾患があっても街で暮らす支えとなる。てるさんが過去の経験を伝えると、ACTのスタッフは初めて、「つらかったね」と目を潤ませてくれた。

 昨年8月、てるさんは、看護師の下平美智代さんらスタッフと、妹や母を交えた対話の場を持った。以後、数か月ごとに毎回1時間半、診療所やアパートに5~7人が集まる。この対話こそ「求めていた治療」だった。

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