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【いのちの値段】精神疾患(4)重い心臓病「入院お断り」

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【いのちの値段】精神疾患(4)重い心臓病「入院お断り」

息子が書いた「きょうはおこってしまった」という言葉。母は息子がいない部屋を掃除する(都内で)=奥西義和撮影

 2016年4月。花冷えの日。入院先を探し求め、やっと受診予約を取りつけた公立の精神科病院で、医師にまた同じ言葉を突きつけられた。「こんな重い心臓病の人は診ることができません」。涙雨がけむるなか、母(60)は自死を考えた。このまま、息子(32)と消えてしまいたい。

 息子は、生まれつき心臓に重い病気を抱え、重い精神疾患も患っている。何かあると、明るい素顔がうそのように粗暴になる。

 子どもの頃、心臓の大手術を受けたが完治せず、入退院を繰り返した。中学校は体力的についていけず、いじめに遭い、不登校も経験した。高校を出て働いても続けられない。同じ病気の友人は死んでいく。

 そんな頃だ。深夜、息子が「頭を撃たれた」と、ものすごい形相で夫婦の部屋に飛び込んで来たのは。やがて妄想や幻聴への恐怖は怒りに変わり、母に向かった。「病気のせいで何にもなれない」「みんなお前が悪い」。15年1月、息子を後ろに乗せた車で、疲れきった母は居眠りをして停車中のバスと正面衝突した。「俺を殺す気かッ!」。息子は母にどなった。

 優しい子だった。悔しい思いをたくさんさせた――。昼間は狭い家に母子2人。母は、息子の怒りを受けとめるしかなかった。

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