健やかキッズ
妊娠・育児・性の悩み
環境整え 片づけの習慣
収納しやすい所に棚 分類は大まか
服や学用品、おもちゃを出しっぱなしにする子どもにいらいらしてしまう親は多いだろう。我が子に片づけの習慣を付けるにはどうすればいいのだろうか。
京都府宇治市の女性(47)の家では度々、小学5年の長男(11)の宿題プリントが見つからなくなる。長男が学習机やリビングのテーブルで宿題をしたまま放置して、ほかのプリントや新聞などに紛れてしまうためだ。「言われなくても、自分で片づけるようになってほしいのですが」と嘆く。
2015年に東大社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所(東京)が行った調査では、小学生から高校生の子どもを持つ保護者の「悩みや気がかり」の1位が「整理整頓・片づけ」だった。
どうすれば子どもが自分から片づけをするようになるのか。整理収納アドバイザーの井上知恵子さんは「片づけをしやすい環境を整えることが大切です」と話す。
中学生、小学生、幼稚園児の3人の子どもがいる井上さん宅では、リビングに収納棚を設置し、子どもが自分でランドセルや制服をしまえるようにしている。
以前は玄関や子ども部屋に棚があったが、子どもらはリビングで制服を脱ぐことが多かったため、場所を移動した。制服はハンガーにかけず、簡単に畳むだけにするなど手間も減らしたので、子どもでも片づけを続けやすくなった。
服やかばんなどを入れる定位置を決める際は、細かく分類しないこともポイントだという。子どもと話し合い、棚や引き出しごとに「制服やハンカチなど毎日使うもの」「習い事の道具など週2~3回使うもの」「大事なおもちゃ」など大まかに分ける。
蓋のない箱に入れたり、中に入れるものの名前やイラストを貼っておいたりすれば、見つけやすく戻しやすい。雑誌で紹介されるような洗練された収納とはいかないが、「見た目には多少目をつぶって」と井上さん。
片づけができたら、しっかりほめよう。子どもは「自分の行動が評価され、役に立っている」と実感できる。
整理整頓する子、自発的に学習も
片づけができるようになれば、自発的な学習習慣が身につくことにもつながりそうだ。東大社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の16年の調査では、「整理整頓する」という小学5~6年生の68%が「人に言われなくても自分から勉強する」と答えた。一方、整理整頓しない児童では、「自分から勉強する」が48%にとどまった。
井上さん宅でも、以前は子ども部屋の勉強机の上が散らかっていた。宿題などをする前に片づける必要があり、子どもはその作業をしているうち、勉強する意欲が薄れていったという。だが、机を整理整頓する習慣が身につくようになると、「子どもたちの集中力が増したと感じるようになりました」と井上さんは話す。忘れ物も減り、授業にも集中しやすくなったそうだ。
ベネッセ教育総合研究所研究員の橋本尚美さんは「整理整頓によって勉強と遊びが切り離され、勉強を始めやすくなる。自立的、効率的な学習にもつながるのでは」とみる。
■子どもが片づけやすい環境づくりのポイント
・ リビングなど、子どもがよく使い、ものを出しっぱなしにしがちな場所に収納スペースを作る
・ 収納の分類は大まかに。中に入れるものの名前を書いて貼れば、分かりやすい
・ 子どもが続けられるよう、片づける際の手間を減らす
・ 片づけたらほめる。戻す場所を間違えてもしからない(井上さんの話を基に作成)
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