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田村編集委員の「新・医療のことば」

ニュース・解説

当直の医師は働いてはいけない?!

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 「病院の当直医」という言葉に、どんなイメージをお持ちですか?

 「救急車の到着に備え、一晩中診察室で待機」

 「入院患者の容体が急変すると、直ちに駆けつける」

 ――なかなか睡眠など取れずに診療に追われる医師の姿を想像する人が多いのではないでしょうか。

 研修医の過労自殺が相次いで明るみに出て、長時間労働の是正が医師にも求められています。その際、しばしば問題になるのが、一般的に使われる病院の「当直」(いわゆる泊まり勤務)の実際と、法律上の規定とのズレです。

病院の「当直」≠労基法の「宿直」

 私たちの働き方を定めている法律は、労働基準法(労基法)です。労基法の中には、「当直」という言葉はありません。夜の泊まり勤務は「宿直」、日曜日などの休日勤務は「日直」と言われます。

 医師も労働者であり、労基法の適用を受ける――との考え方は、裁判の判例などを通じて定着しつつあります。

 1日8時間、週40時間という法定労働時間や、時間外労働(残業)時間の制限などの規定のほかに、労基法は残業時間に含まれない勤務として、「宿直」と「日直」を認めています。

 この「宿直」や「日直」は、ほとんど働かずに過ごすのが条件です。労働基準監督署が認めた場合に限り、宿直は週1回、日直は月1回を上限に許可されます。

 「当直」の医師が、日中と同じくらい忙しく働いていたら、労基法上は「時間外労働」ですので、その分の割増賃金も生じますし、残業時間の制限にも関わります。

 日常的に、寝る暇もなく診療にあたっているのなら、それは「宿直」ではありません。労基署が、こういうケースで病院側に未払い賃金の支払いを命じるニュースは、よく目になさっていると思います。

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田村 良彦(たむら・よしひこ)
1986年、早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で医療報道に従事し連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。2017年4月から編集委員。共著に「数字でみるニッポンの医療」(読売新聞医療情報部編、講談社現代新書)など。

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5件 のコメント

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専門医取得に配慮した医師偏在解消制度

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

正月休みは30年前の銀河戦争の小説原作アニメを見ていました。 政治と戦争の構造問題や無能な上官の感情論や陰謀で沢山の若者が死んでいく構図は医療問...

正月休みは30年前の銀河戦争の小説原作アニメを見ていました。
政治と戦争の構造問題や無能な上官の感情論や陰謀で沢山の若者が死んでいく構図は医療問題にも通じます。

医師偏在解消のための僻地勤務の認定制度が発足し、医師強制配置は回避されましたが、当直問題もセットで話は繋がります。
12月30日読売新聞に記事がありますが、田舎のコンビニ受診に勤務する深夜コンビニ医師募集になりかねません。
シフトもコストも考慮されなければ、粗雑な医療になったり、過剰処方によるキックバックなど裏のメリットに走る医者が増えるだけだと思います。

当直や待機の過剰負担の減免や専門医取得の遅滞にならないような制度を組み込まないと形骸化は免れないでしょう。

そもそも、地方出向は大学によっては「医局員いじめ」「自主退職の婉曲表現」にも使われた歴史を知るべきです。

人格形成に有効と紹介する他紙もありましたが、自分の経験で言えば、過剰な特権意識を覚えたトンデモ医師も育成されるようですし、少し前に研修医パワハラ自殺も発生しています。
実利のない認定医など、死んだら2階級特進と同じでかすかな慰めです。

例えば、放射線科専門医は2段階なので、上級専門医が足りない施設や核医学などの経験が積めない施設も多い地方勤務経験の場合、1段階目の時点での案件を大幅に緩和するなど、大きな年数での専門医取得の妨げにならないメリットは大事でしょう。

戦争反対を叫ぶだけでは戦争が食い止められないのと同じように、構造問題の修正が必要です。
健康や生命の不利益を受けるのは患者です。
健康の不利益を、不利益と思わず、最近流行の耳障りの言いホストクラブ医療を望むのであれば、短期的には正解なのですが、地方崩壊と農業の急速な崩壊は都心部の生活も壊していくでしょう。
医師偏在の問題において、国家全体の中での不平等解消に配慮する必要があります。

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当直の科学と応召義務 付加価値の創出

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

当直は専門医取得や医局制度のほかに応召義務と関連します。 医師の中でも凄く揉める話です。 医師が神様扱いで、訴訟も滅多になかった昔に作られた仕組...

当直は専門医取得や医局制度のほかに応召義務と関連します。
医師の中でも凄く揉める話です。
医師が神様扱いで、訴訟も滅多になかった昔に作られた仕組みで、高度成長期にはウケが良かったでしょう。

当直時間の業務は、本当にその時間に発生した問題、日勤帯のミスが引き金になったもの、日勤帯の問題を患者が抱えていたものが存在したもの、があります。
後者2つの要素をどうピックアップするかで、医療の質の向上は望めるでしょう。
他の社会が前に向かっているのに、医療社会のシステムだけ偏在対策と称して昔に逆行しても不具合の方が大きく、医師になりたい優秀な若者は減り、質の低下した悪平等に向かうだけではないかと思います。

日本と世界の経済も労働の主力の性質や戦い方も変わる中で、長時間労働神話と科学的に安全な勤務状況のどちらを患者さんが期待されるかのリテラシーも問われます。
過重労働のミス=構造的トンデモ医療で得をするのは病院経営者と弁護士と葬儀屋であって患者さんではありません。

今後は当直とセットの資格システムとそれ以外の医師や医療サービスとの兼ね合いで揺れ動くでしょう。
あるいは大資本が混合診療や自由診療も含めて、医師の新たな形の雇用やサービスを創出するかもしれません。
上級医資格がない人は代わりの付加価値創出の努力をしますし、既存組織も内部教育や雇用優遇を考え出すでしょう。
今の若手医師は専門医だけでなく、宿直適性の他、様々な要素を考慮して人生や制度と向き合う必要があります。

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改善されない労働環境の背景要因と社会形成

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

自分も医局派遣の救急当直明けで居眠りしたら、上官に呼び出されて怒鳴られた記憶があります。 僕は怒鳴られようが寝不足で診断ミスしたくないタチなので...

自分も医局派遣の救急当直明けで居眠りしたら、上官に呼び出されて怒鳴られた記憶があります。
僕は怒鳴られようが寝不足で診断ミスしたくないタチなので、イエスマンを欲する体育会系の職場で不利益な立場に立たされたわけですが、ミスをすると時に何故か儲かる医療システムも問題です。
症例数の多さや経営黒字の情報には時々不純物が混じりますが、その辺も官僚や警察、検察の手腕が問われることになります。

問題は体力と出世欲が異常な人が出世し、自分と他人は違うということが色々な意味で理解できない人が多い事です。
医者の常識は社会の非常識と言いますが、人格形成や社会形成の問題です。
(非人間的な学生時代や業務内容も関係しますが。)

先日、外科女医の漫画を目にしましたが、もっときつそうな環境でした。
パワハラやセクハラ、殺人的超勤が減らない事は、戦場で、兵士の士気を下げないための狼藉や略奪を許可している状態の亜型です。
若手医師の犯罪のニュースも増えましたが、非人間的な環境での過ちはどこまで過ちなのか?
連綿と続く超過勤務のゲリラ戦が、ターニングポイントを潰し続けているわけです。

純粋な人材育成と異なる社会構成の変な常識があるので、女医が女を捨てずに外科系で働きやすくなるにはまだ10年はかかるでしょう。
女医の問題は、男性も含む、医師全体の問題で、外科系と内科系の業務の守備範囲も変わっていく必要があります。

寝当直も、遠隔診療による死亡診断や、看取りの推進の影響で、減っていく可能性があります。
もっとも、寝当直と言っても、絶対に何もないわけではありませんし、時折トンデモ症例に出会います。
ずっと家に帰らないと独身でも心がすさんできますし、家族には会えません。

医者の偏在は偏在そのものよりも、業務やシステムの不備の影響が大きいわけで、若手が潰れずに生活して成長できる環境が整うことを望みます。

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