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五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」

コラム

30代がクサい! ミドル脂臭って何?

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加齢臭よりも強烈

 中高年男性の加齢臭ばかりが注目されますが、若い30代の男性にも特有なニオイがあります。ある化粧品メーカーが成分を特定し、「ミドル脂臭」と名づけました。その正体は「ジアセチル」という物質です。実際にいでみると、相当なものですよ。加齢臭の成分であるノネナールの比ではありません。このジアセチルは、お酒や酢の醸造でも発生することがあり、かすかな量でも製品を台無しにしてしまう厄介者なのです。とりわけ女性が不快感を催すニオイであるところから、「つわり臭」とも揶揄やゆされます。

 働き盛りの男性にしてみたら、どうでしょう? そんなに臭うとなれば、職場の女性や交際相手、友達……次々と人間関係が気になってきて、物事に打ち込めませんね。

 しかし、このジアセチル。実は、性別も年齢も問わず、誰からも出ているニオイなのです。それが30代男性に特有なニオイとされた理由は、この世代を取り囲む環境に由来します。順を追って説明しましょう。

疲労とストレスで強まる

 ミドル脂臭は「脂くさいニオイ」と表現されますが、実際には汗から出るニオイです。私たちは疲れると、体内で「疲労成分」といわれる乳酸を作り出します。乳酸が汗と一緒に出たのを、皮膚にいる細菌が分解し、ジアセチルになるのです。つまり疲労がたまって乳酸が増えると、ジアセチルも多く発生するわけですね。

働きすぎ

 乳酸が多くできるのは、酸素を十分に使わないで体内のエネルギーを消費するときです。無酸素の運動や、無意識に息を詰めるような場面に伴って増えます。30代は、忙しい忙しいで、息もつかずに動き回る。仕事仕事で疲労困憊こんぱい、残業残業で遅くなり、睡眠不足で慢性疲労。これでは乳酸が溜まるのも当然。

 重ねて、汗のかきかたにも問題があります。30代は中間管理職というライフステージで、上からも下からも受ける諸々のストレスで、緊張による汗をかくことも多いでしょう。典型的なものが冷や汗です。これは一気にどっとあふれるような汗で、乳酸などの血液成分を多く含んでいます。汗をかく部位にも特徴があり、首から頭にかけて特に出やすいため、ミドル脂臭も頭から首の後ろにかけて強くなるといわれています。

 ミドル脂臭の原因は、ジアセチル単独ではありません。ジアセチルは他の体臭と一緒になると、相手が少量でもニオイを強くする傾向があり、特に皮脂腺から出るニオイを強くしてしまいます。この皮脂の分泌は、30代のミドル世代が最も盛ん。ミドル脂臭が「古い脂のニオイ」に感じるのは、汗からのジアセチルと皮脂のニオイが混ざり合うからなのでしょう。

対策は自分をいたわること

入浴リラックス

 原因とメカニズムがわかれば、対策も立てられます。まずは、今日の疲れを明日に持ち越さないことです。それには、入浴が一番。忙しくてもシャワーで済ませず、ゆっくりバスタブに浸かって、汗もストレスも流すこと。体が温まると、腎臓がリフレッシュされて乳酸の排出のために頑張ってくれます。それから頭と首の後ろを念入りに洗うことです。

 日頃からストレスをためないことも大事です。ストレスは緊張性の発汗につながり、抗酸化力も弱めるため、皮脂の酸化を進めます。ニオイ予防のためにも、リラックスできる趣味や場所を探してください。「自分は仕事が生きがいだ」という人も、せわしく動き回らずに、意識的にゆっくりとした呼吸をするように努めてください。

 余暇に有酸素運動をするのも、良い汗をかくために有効です。良い汗というのは、さらさらして濃度の薄い、べとつきの少ない汗です。乳酸などの血液成分が少ないのでジアセチルもあまりできません。食事は、加齢臭の対策に準じます。海藻や緑色野菜などの抗酸化食品をとるように心がけてください。気分転換のお酒は、飲み過ぎない限りOKです。

 ここまで書いてお分かりいただけたことでしょう。最も有効な「ミドル脂臭」対策とは、「いま・ここ」をひたむきに生きているあなた自身を、大事にいたわることに尽きるのです。(五味常明 五味クリニック院長)

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五味常明(ごみ・つねあき)

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒。昭和大で形成外科、多摩病院で精神科に携わった後、体臭・多汗研究所を設立。現在は、 五味クリニック 院長として、東京と大阪で診療する傍ら、流通経済大スポーツ健康科学部の客員教授も務めている。

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