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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

医療・健康・介護のコラム

手術後は段階的にリハビリを -前十字靭帯損傷-

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 どうも、大関です。以前、成長期に多い膝の痛みとして紹介した オスグッド病 は、徐々に痛みが出てくるスポーツ障害でしたが、今回は、一度の外力で受傷するスポーツ外傷として典型的な前十字 靭帯(じんたい) 損傷の話をさせていただきます。

 高校生バスケットボール選手のケースです。

 高校1年生のEさん。小学生の時からミニバスケットボールに親しみ、ドリブルやレイアップシュートが得意です。1か月前、ジャンプの着地の際に右膝が内側に入るような形でひねり、プレーが続けられなくなりました。歩くのもやっとで、近くの整形外科を受診。前十字靭帯損傷が疑われるため、MRI検査が必要と言われました。

手術後は段階的にリハビリを -前十字靭帯損傷-

 前十字靭帯は、 大腿(だいたい) 骨と (けい)(こつ) をつなぐ膝の安定性に極めて重要な靭帯です。前十字靭帯損傷は、直接膝をぶつけて起きるより、その多くはジャンプの着地や動く方向を変えるカット動作時に膝をひねり、他人と接触することなく受傷します。バスケットボール、ハンドボール、バレーボール、バドミントン、サッカーやラグビーなど多くのスポーツで起き、成長期に限らず、成人にも発生します。

 けがをした直後は、痛みのため歩行困難になることが多く、靭帯からの出血により膝は腫れます。MRI検査は必須で、靭帯損傷のみでなく、半月板や軟骨の状態についても調べます。前十字靭帯が損傷すると、脛骨が前方や回旋する方向に不安定な状態となり、自然治癒は期待できません。その機能を筋力トレーニングなどのリハビリだけで補うことも難しいため、ジャンプやカット動作を伴うスポーツのパフォーマンスを元に戻すには、手術が必要です。

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大関 信武(おおぜき のぶたけ)

 整形外科専門医・博士(医学)、読売巨人軍チームドクター、日本スポーツ医学検定機構代表理事、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

 1976年大阪府生まれ、2002年滋賀医科大学卒業、14年横浜市立大学大学院修了。15年より東京医科歯科大学勤務。野球、空手、ラグビーを経験。スポーツ指導者などへのスポーツ医学知識の普及を目指して「スポーツ医学検定」(春、秋)を運営している。東京2020オリンピック・パラリンピックでは選手村総合診療所整形外科ドクター。

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1件 のコメント

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女子の解剖及び文化特性と障害予防

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

サッカードクターセミナーでも、「Knee in」はよく話題になります。 特に、女子は発生学的、あるいは解剖学的に内股=X脚の傾向があり、そこに、...

サッカードクターセミナーでも、「Knee in」はよく話題になります。
特に、女子は発生学的、あるいは解剖学的に内股=X脚の傾向があり、そこに、日本の恥の文化やハイヒール文化、サイズの小さな靴に足を押し込む文化が重なって、ベースの部分の運動機能として問題を抱え、怪我が多発します。
女子は生物学的に、出産のために、下腿に比べて骨盤が大きいという性質も絡んでいます。

大怪我する前に、予防としての靴選び、姿勢作り、スクワットや全身バランスのトレーニングも推進されればと思います。

男の子も女の子も、怪我する前に勉強して大怪我せずに済んでくれる子が多い方が良いと思いますし、その方がより多くの子供がスポーツを楽しんでくれて健全な教育環境が推進されると思います。

そして、そのような意見が、スポーツ指導者の意見の多数派になるようにしないといけないと思います。

プロやセミプロのギリギリの世界とその手前で指導方法は明確に異なるべきです。
暴力と体罰の違いと同じように線引きが大事な問題です。
競合ベルギーでは、少年サッカーの順位表の張り出しを禁止したそうです。

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