医療部発
医療・健康・介護のコラム
避難所の環境はなぜひどいままなのか(下)
「雑魚寝におにぎり」は世界の非常識
多くの避難所は、公立の学校や体育館などに設置されます。おのずと責任者は校長や市町村の職員が務めることが多くなります。校長や、たまたま避難所担当になった職員が、災害対応にたけていれば幸運です。災害時に簡単に設置でき、快適に眠れる段ボールベッドの存在や協定を知っている可能性は極めて低いと思われます。組織として動くため、避難所の担当者が現場に必要だと思うものを指示なく取り入れることも難しいでしょう。
避難所・避難生活学会の理事長で新潟大学講師(呼吸循環外科)の 榛沢 和彦さんは「避難所を被災地の校長や行政職員が運営することはやめるべきだ。避難所についての知識、ノウハウがある専門家に運営を委ね、避難所の風景を変えないといけない」と指摘します。
1年8か月前に取材した熊本地震の避難所は、6年9か月前の東日本大震災どころか、20年前の阪神大震災の避難所の様子とほとんど同じでした。1930年の北伊豆地震の避難所の写真ともあまり変わりません。「日本の避難所は、バングラデシュの避難所よりもひどい」とバングラデシュ人から聞いたという人もいました。避難所は雑魚寝におにぎりが当たり前という日本の常識は、世界からみれば極めて非常識なことなのです。
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災害時に限らず、資金、資材、人材、サービスの不均衡の是正や改善は問題ですが、進みません。 多分、一番の問題は普段から忙しすぎる人が多いからでしょ...
災害時に限らず、資金、資材、人材、サービスの不均衡の是正や改善は問題ですが、進みません。
多分、一番の問題は普段から忙しすぎる人が多いからでしょう。
そして、忙しすぎて、新聞すら読まずに、どんどん常識を失っていっているのに、自分の感覚が常識だと勘違いしてしまう人がいます。
医師の多くが閉鎖空間で暮らしているせいか、お金や仕事のやり取りをしている相手と自分の部下を混同して連絡して来る事例に最近出会いました。
出張の飛行機やホテルが決まったところで、「無所属者は参加してはならない」と関係のない後付けの理由でメールをよこしてきました。
そういう事例は最低でも電話だと思いますけどね。
感情的に返しても仕方ないので、少し寝かせてありますが、本文と同じで、情報や仕事、お金の伝達ルートの問題です。
日本にはお金も人材も余っていますが、うまく行き届かない問題をどういう風に社会に訴えかけるかというのは、被災地域やマスコミの重要な役割ともいえます。
疑問も抱かず、問題も起こっていないのであれば、急性期の対応として、日本は公民館でもいいのかもしれません。
一方で、色々と問題も起こり、その改善策も考えられるのに社会が動いていない問題はよく考える必要があります。
何を変えて、何を変えるべきでないのかを。
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