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医療部発

医療・健康・介護のコラム

避難所の環境はなぜひどいままなのか(上)

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周知されなかった段ボールベッド提供

避難所の環境はなぜひどいままなのか(上)

段ボールベッドの組み立て方を指導する水谷さん(左)(2017年1月14日、北海道北見市での災害演習で)

 段ボールベッドは、緊急時に段ボールを組み合わせてベッド代わりにするものです。先進国の避難所は簡易ベッドが基本ですが、日本では持ち運びできるレンタルのベッドはほとんどありません。敷布団に掛け布団、毛布があれば雑魚寝でも良いのでしょうが、そんな立派な寝具は避難所には用意されません。このため段ボールベッドが現実的な選択肢になり、東日本大震災や熊本地震などでは一部の避難所で使われました。

 このベッドを開発した水谷さんは自宅でも1年間使い続けていますが、十分な強度を保ち、通常のベッドに比べても特に寝心地は悪くないと言います。記者も避難体験の取材で1日使ったことがありますが、極めて快適でした。床の温度が直接伝わらない上、人が歩く人も響きにくくなります。ほこりが舞い上がっても床ほど不衛生になりません。

 被災県の災害担当者は、段ボールベッドの提供を受けられることを知っていたはずです。しかし、災害対応で混乱していたからか、避難所の担当者にその情報が伝わることはありませんでした。県レベルでの協定だったため、市町村がそれを知らなかった可能性もあります。ではどうすべきなのでしょうか。

石塚顔写真(補正)

石塚 人生 (いしづか・ひとせ)
1999年から医療情報部で約7年間、小児医療、神経難病などを担当した。東日本大震災発生時は東北総局。石巻支局長を経て2015年6月から医療部。現在はがんや災害医療などを担当。

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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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1件 のコメント

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防ぎ得る障害や死亡をどう考えるか?

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

震災関連死で後から500万円払うなら、その予防に500万円が使われるほうが良い気もします。 中古のライトバンを改装した中にベッドをいれたり、既存...

震災関連死で後から500万円払うなら、その予防に500万円が使われるほうが良い気もします。

中古のライトバンを改装した中にベッドをいれたり、既存の中古車を改装して、リクライニング角度やクッションの可変性などをいじれば、プライバシーの問題だけでなく血栓症の可能性はぐっと下がると思います。
対策としても水分や塩分の補給及び早期診断治療にフォーカスが絞られ、予防の観点は抜けています。
エコノミークラス症候群の別称の通り、姿勢の問題も大きな原因と考えられます。
今後の災害発生やタクシーなどの業界への応用も考えて、自動車企業はその辺に技術開発してほしい所ですし、官僚も柔軟な法制度に動いてほしいです。

お金は大事ですが、お金そのものは食べられるわけでも、サービスそのものでもないわけです。

また、こういう現実を考えると、災害が発生した時に助けてもらえないことを前提に生活設計をする必要が出て来るでしょう。

もっとも、地域の荒廃は回りまわって、都心部の生活にも影響を与えるんですけれどもね。

日本の長寿は医学の進歩だけではなく、衛生環境や食生活の改善の問題も大きいものです。

情けは人の為ならずで、せめて関心だけでも向ける必要はあります。
明日は我が身かも知れないのですから。

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