子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
発達障害(13)二次障害早期支援で予防
発達障害では、精神科医で信州大付属病院子どものこころ診療部長の本田秀夫さんに聞きます。(聞き手・松本航介)
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発達障害の人は、思春期以降にうつや不安などの二次障害が生じることが多いと言われています。でも、全員がそうなるわけではありません。
Cさんは、3歳から私たちが診てきた男性です。3歳の頃は典型的な発達障害の特徴がありました。共感性に乏しく、一人遊びばかりして他の子に興味を向けない。そこで、幼児期から専門家の支援を受けて育ちました。
今、20代後半です。高校を出て電機メーカーに就職しました。障害者としての就労ではなく、普通の就職です。会社では、問題だと思ったことは上司でも臆せずにズバズバと指摘します。いわゆる「 忖度 」は、得意ではありません。
こういうタイプは会社では嫌がられることがあります。ところが、この会社は、「変に忖度するより前向きな提言をする社員の方がいい」と評価してくれ、入社5年目で同期で最初にチーフになりました。
社内のコンピューター端末の操作マニュアルを一人で作るなど、仕事はとても優秀です。対人関係は今も得意ではありませんが、チーフとして後輩を食事に連れて行くこともあります。自分が企画して、自分の計画通りに連れて行くので大丈夫なのです。
趣味はアイドルのイベントに出かけることやテレビゲーム。少しオタクですが、社会人として支障はありません。
Cさんは幼児期から支援を受けて、二次障害を防ぐことができました。もし、育ち方が違っていれば、自己肯定感が下がったり、うつになったりしていたかもしれません。
発達障害は早期発見、早期支援が大切です。それによって、つらい二次障害を予防することが十分に可能です。
【略歴】
本田秀夫(ほんだ・ひでお)
1964年、大阪府豊中市生まれ。精神科医。信州大医学部付属病院子どものこころ診療部部長・診療教授。日本自閉症協会理事。著書に「自閉症スペクトラム」など。
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ビル・ゲイツもそういう傾向があったと知られていますね。 一つのことに集中しすぎる傾向。 子供よりも問題なのは案外親の扱いだったりするもので、成功...
ビル・ゲイツもそういう傾向があったと知られていますね。
一つのことに集中しすぎる傾向。
子供よりも問題なのは案外親の扱いだったりするもので、成功者を引き合いに出すとマジックワードになるかもしれません。
教師や医師にとっても、理解や成長を待つことはとても難しいものです。
だから、ドイツのサッカー指導者は子供ほどに老人が見るらしいです。
今は自閉症傾向の子供が増えていると言われます。
環境の変化、社会の変化などの影響もあるでしょう。
昔は長屋で暮らす人も多かったらしいですが、核家族の世代を経るごとに、多様な社会に浸かって生活する経験が少なく、自閉症ではない自閉症傾向が増えるのだと考えています。
見たいものや聞きたいものも選べる時代ですしね。
もう一つの要因は様々な社会の閉塞的要因からの逃避行動としての、非現実社会、空想社会を求めるオタクです。
そういう部分で培った能力をどういう風に社会に生かすかは、社会の課題でしょう。
MRIのフーリエ変換もそうですが、虚数関数のように、現実と非現実を繋ぐi(愛)が必要なわけです。
一方で、これだけ、社会の蓄積が出来て来ると社会の閉塞を打ち破るにはそういう人材の方が向いています。
出来たら協調性があった方が望ましいですが、傑出した努力と発想がないと、既存の社会に溢れたサービスは打ち破れません。
患児か否か判断が難しい子の話も執筆していただきたいですね。
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