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【臓器移植法20年】生きたい(1)命のリレー 理解広げる

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 集中治療室で目覚めると、新しい世界が広がっていた。

 「それまでにも手術は経験していましたが、移植後の気分は全然違いました」

 静岡市の男性(39)は今年夏、脳死ドナー(臓器提供者)から心臓移植を受けた。補助人工心臓に頼る日々から、ようやく解放された。

 拡張型心筋症だった男性は3年ほど前、会社で突然、意識を失った。心機能が低下し、そのまま放置していたら、助からない。心臓移植が唯一の生きる道。3人の子どもと妻を残して死ねない――。補助人工心臓を使い、ドナーを待つことにした。

 当時は、「子どもに何か残したい」と、家を建てたばかり。だから同時に、逆の思いにも悩まされた。東京の大学病院で治療を受けるとなると、いくらかかるだろう。「家族のために働いてきたのに、自分に金をかけてまで生きるのは納得いかない」。妻と医師に説得され、治療を受けた。

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