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性行為関連心停止では危険な不整脈が多い

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心肺蘇生法の教育が重要

性行為関連心停止では危険な不整脈が多い

 性行為は突然の心停止の引き金になるといわれているが、その発症率などを調査した研究はない。そこで、米・Cedars-Sinai Medical CenterのSumeet S. Chugh氏らは、性行為が引き金となった突然の心停止(性行為関連心停止)について検討した。その結果、性行為関連心停止例の76%が、死亡につながる危険性の高い不整脈を発症していたにもかかわらず、3分の1しか現場に居合わせた人(バイスタンダー)による心肺蘇生法(CPR)を受けていなかったと、米国心臓協会学術集会で発表した。同氏は、突然の心停止に対するバイスタンダーCPRの教育が重要だと指摘している。この結果は、J Am Coll Cardiol(2017; 70: 2599-2600)に掲載された。

年間発症率は人口10万対0.28

 2002~15年、米・オレゴン州の住民を対象に、突然の心停止の発生を研究する目的でOregon Sudden Unexpected Death Study(SUDS)が行われた。Chugh氏らは、その登録者で、心停止を発症した18歳以上の全症例について性行為に関連する心停止の臨床的特徴を検討した。性交中または性交後1時間以内に発症した心停止を「性行為関連心停止」と定義した。

 突然の心停止は研究期間中に4,557例(平均年齢65.2歳、男性68.0%)あり、そのうち性行為が関連していたのは34例だった。この数値は、年間発症率に換算すると人口10万対0.28となる。心停止の発症時期は性行為中が18例(52.9%)、性行為後数分以内が15例(44.1%)だった。1例は正確な発症時期が不明だった。

男性、アフリカ系に多い

 性行為関連心停止例のうち32例(94.1%)が男性だった。男性の突然心停止例の1.0%が性行為に関連していたのに対し、女性では0.1%にすぎない。

 平均年齢を見ると、性行為関連例がその他の心停止と比べて約5歳若かった(60.3歳vs. 65.2歳、範囲34~83歳)。また、人種別ではアフリカ系の割合が高かった(18.8% vs. 7.8%、P=0.022)。

 そして、突然の心停止のいずれも心疾患の既往歴が約3割に認められた。

 性行為関連例では、その他の心停止と比べて、死亡につながる危険性が高い不整脈である心室細動(VF)または心室頻拍(VT)が有意に多く認められた(75.8% vs. 45.2%、P<0.001)。バイスタンダーCPRは、性行為関連例の32.4%、その他の心停止例の27.2%に施行されていた。

 以上の結果から、Chugh氏らは「全体では、性行為が引き金となった突然の心停止の発症率は低かったが、より危険性が高い不整脈の割合が高かった。そのため、心疾患患者と医療提供者は性行為を行う上での安全性について話し合う必要がある。また、突然の心停止に対して、状況にかかわらずバイスタンダーCPRを行うことの重要性を、一般に教育する必要性が示された」と述べている。

(あなたの健康百科編集部)

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