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都の屋内禁煙条例案、加熱たばこも罰則?…健康被害、国の検証まだなのに

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都の屋内禁煙条例案、加熱たばこも罰則?…健康被害、国の検証まだなのに

フィリップ・モリス・ジャパンが販売している加熱式たばこ

 2020年東京五輪・パラリンピックに向け、東京都が今年度中の提出を目指す罰則付きの屋内禁煙条例案のたたき台に対する意見公募(パブリックコメント)で、加熱式たばこを規制対象とすることに約2000件の反対意見が寄せられた。国による健康被害の検証結果が出ていない中、都は加熱式を規制対象とするかどうか、難題に直面している。

来年2月提出

 「19年のラグビーワールドカップ(W杯)までに施行したい」。小池百合子知事は今年9月、屋内禁煙条例案のたたき台を示し、年度内の提出に意欲を見せた。国際オリンピック委員会(IOC)は「たばこのない五輪」を掲げ、ロンドン大会やリオ大会でも、罰則付きの対策が講じられてきたためだ。

 厚生労働省は今年3月、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の原案を公表したが、調整が難航して国会提出は先延ばしされている。都は「世界から後れを取るわけにはいかない」と、条例案を独自にまとめ、来年2月の都議会定例会に提出する方針だ。

反対2000件

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 都のたたき台では、たばこ事業法で紙巻きたばこと同じ「製造たばこ」に分類される加熱式も規制対象とした。しかし、都が9~10月に行った意見公募では寄せられた約1万7000件の意見のうち「加熱式は対象から外すべきだ」という声が約2000件に上った。

 担当者は「かなり多いという認識だ。規制するにしても、一定の説明が必要だ」と話す。

 問題は、加熱式が出す蒸気のリスクが十分に検証されていないことだ。加熱式の「IQOS(アイコス)」を販売するフィリップ・モリス・ジャパンの分析では、蒸気は紙巻きの煙に比べ、有害成分の量が平均で約9割低減されたという。「プルーム・テック」を販売する日本たばこ産業(JT)も「健康懸念物質はほとんど含まれない。紙巻きと同様に議論されるべきではない」との考えを示している。

 一方、日本禁煙学会は7月、「加熱式も認めるわけにはいかない」との声明を出し、「従来のたばことほぼ同様の発がん性物質を発する」とのスイスの研究チームの分析結果を紹介した。

 厚労省案は「健康影響への知見が十分でない」とし、「規制対象に含めた上で、健康被害が明らかでないものを政令で除外可能にする」としている。厚労省が進めている健康被害の研究結果が出るのは来年5月頃の見通しで、都の条例案提出には間に合わない。

 すでに条例がある神奈川・兵庫両県は加熱式も対象としているが、都幹部は「『健康に害がある明確な証拠がないのに、なぜ罰則を受けるのか』と問われたら、現時点で反論するのは難しい」と明かす。

          ◇

【加熱式たばこ】  たばこ葉を電気機器で加熱して、発生する蒸気を吸う。2014年にフィリップ・モリス・ジャパンが試験販売を始めた「IQOS(アイコス)」がブームに火をつけた。日本たばこ産業(JT)やブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンなどの製品も販売されている。

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