医療ルネサンス
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医療ルネサンス
着床前検査(1)受精卵の染色体調べる
「どうして私だけ……」
熊本県に住む会社員A子さん(40)は、おなかの赤ちゃんの発育状態を調べる妊婦健診で医師から4度目の流産を告げられると、心の中でそうつぶやいた。妊娠がわかってから約3週間。心拍も確認されていた。医院のトイレに駆け込んで1人泣いた。2015年6月のことだった。
A子さんは11年に34歳で結婚し、翌年に長女(5)を出産。14年から1年半の間に流産を繰り返した。原因を探ろうと、夫婦そろって血液検査を受けたが、問題は見つからない。ただ、流産した赤ちゃんの組織を調べると、染色体に異常があった。こうした異常は流産につながるという。
体外受精による受精卵のすべての染色体を検査し、異常のないものだけを子宮に戻す着床前スクリーニング(PGS)という技術があることを地元の医師から聞いたのはその頃。大谷レディスクリニック(神戸市)がこの技術を取り入れていることをインターネットで知り、15年7月、新幹線で3時間以上かけて訪ねた。
「つらかったですね」。院長の大谷 徹郎 さんから声をかけられた。「これが最後のチャンス」と、PGSにかけることにした。
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