健康トレンド
介護・シニア
フィットネス(下)筋肉量維持で老後も安心
シニアにとってフィットネスはなぜ重要なのか。運動生理学が専門の近畿大生物理工学部の谷本道哉准教授=写真=は「一番はロコモティブ症候群を防ぐため」と話す。
同症候群は、骨や関節を痛めたり、筋肉が衰えたりして、要介護状態になるリスクが高まること。男女とも、加齢で60歳頃から全身の筋肉量が落ち始める。そのため、姿勢が正しく保てず腰痛を患ったり、歩きにくくなったりする。
筋肉量の減少を防ぐには、自宅での筋力運動も有効だ。谷本准教授は、スクワット、腕立て伏せ、腹筋、背筋をそれぞれ10回ずつ2日に1回程度行うことを薦める。毎日続けると負荷が大きいので、2種類ずつ2日に分けてもよい。すべて行っても10分程度で終わる。
特にスクワットは、太ももとお尻という体を支える重要な筋肉を鍛えられる。コツは深くしゃがみこむこと。3秒かけてしゃがみ、3秒かけて膝が伸びきる手前まで立ち上がる「スロートレーニング」は、ケガのリスクを抑え、軽めの負荷でも効果があるという。
女性は閉経後、女性ホルモンの分泌が減り、骨密度が下がって骨折しやすくなる。筋力運動で、骨密度が上がるという研究結果もある。谷本准教授は「平均寿命が延び、虚弱にならずに生きる期間を長くする必要が出てきた。適度な筋トレで筋肉量を維持することが大切」と話す。
【関連記事】