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[初めての介護](8)老人ホーム入居、費用確認

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一時金の有無、サービス内容

[初めての介護](8)老人ホーム入居、費用確認

食堂横の図書コーナーで本を選ぶ入居者。ファンコート厚木では、入居者が楽しく目的を持って過ごせるよう、様々なイベントも行われている

 お年寄りが介護を受けながら暮らす施設として、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が増えている。ただ、毎月かかる費用とそれに含まれるサービス、入居時に納める一時金の有無などは、施設ごとに違う。事前に比べてよく検討し、納得できる住まいを見つけたい。

 有料老人ホームには、主に「介護付き」と「住宅型」がある。「介護付き」は、施設の職員から24時間体制で介護を受けられる。「住宅型」は、施設内に介護職員らが常駐しないタイプだ。どちらも一般的に個室で、ベッドや洗面台、トイレなどを完備。食事の提供や洗濯、掃除、健康管理などをしてもらえる。

 神奈川県厚木市の「ファンコート厚木」は、介護付きの有料老人ホームだ。部屋は計120室あり、全て個室。昨年3月、相模原市の自宅から移り住んだ朝妻光子さん(81)は、「家での生活は食事の用意や掃除が大変だったけれど、入居して自由な時間が持てるようになりました。介護や見守りが付いているので、安心です」と話す。

 有料老人ホームは一般的に、賃貸契約ではなく、居室を利用する権利を取得するという特殊な契約方法になっている。

 入居者が毎月支払う費用は主に、家賃、共益費、食費、介護費だ。ファンコート厚木の場合、家賃、食費、共益費が含まれる基本料金は月17万3500円だ。

 基本料金に含まれていない介護費は、介護がどれくらい必要かを示す「要介護度」で変わる。介護保険が適用されるため、自己負担はかかった費用の1~2割で済む。このホームでは1割負担の場合、最も軽い要支援1で月6831円、最も重い要介護5で月2万8352円だ。含まれるのは、入浴介助、自室の清掃、専門職によるリハビリがそれぞれ週2回など。料金を追加すれば回数を増やせる。

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 一方、「住宅型」は、それぞれの入居者が、施設外の介護事業者を自由に選んで契約し、介護を受ける。入居時点では介護を必要としていなくても、将来的に介護が必要となることを見越して移り住む人も多い。

 住み替えによる環境の変化で、心身に負担のかかる人もいる。その点、自宅から、近所の「住宅型」へ引っ越せば、それまでと同じデイサービスに引き続き通ったり、なじみのヘルパーに来てもらったりすることもできる。

 ただ、ホームに併設された介護事業所の利用を入居条件にする、不適切な「住宅型」も一部にある。施設選びの際には注意したい。

 どの有料老人ホームでも、選ぶ際の大きなポイントとなるのが、入居時の一時金の有無だろう。公益社団法人全国有料老人ホーム協会(東京)の担当者は、「数千万円の施設がある一方、不要な施設もあり幅広い」と話す。

 老人福祉法の規定で、一時金は、入居後3か月以内に退所した場合、家賃などの実費を差し引いた残金が返還される。

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 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、原則60歳以上を対象にしたバリアフリー構造の賃貸住宅だ。2011年に施行された改正高齢者住まい法に基づいており、全国で増えている。

 基本サービスは、スタッフによる見守りと生活相談だが、9割以上の施設では食事も提供している。必要になれば、入居者が個別に、外部の介護事業所を選んで契約するという点で、住宅型有料老人ホームと似ている。

 入居費は全国平均で月約10万円。入居時の一時金は不要なケースが多い。また、建物の敷地内や近隣で、関連会社などが介護事業所を運営しているサ高住も目立つ。入居者の自由な選択を妨げるようなところは、避けた方が無難だ。

 どこに入居するにしても、費用とサービス内容を念入りに確認しないと、トラブルにつながりかねない。「居室の光熱費は共益費に含まれるのか」「おむつ代は全額自己負担になるのか」など、気になる点を洗い出し、施設見学では価格表に基づいた説明を受けたい。

 (板垣茂良)

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