35歳の息子が多血症の診断
35歳の息子が多血症と診断されました。3種類あるとのことですが、そのどれかまでは現時点ではわかりません。自覚症状はないようです。たばこを吸い、外食ばかりで野菜不足です。どんな検査が必要で、生活上は何に気を付ければ良いのですか。(65歳女性)
専門医による究明、禁煙心がけ
桐戸敬太 山梨大学医学部 血液・腫瘍内科教授(山梨県中央市)
多血症とは血液中の赤血球が増えている状態で、様々な原因があります。一つは、ストレスや脱水などで血液中の水分量が減って、見かけ上、血液が濃くなる相対的な多血症です。
次に、赤血球の生産を促進する物質・エリスロポエチンの増加で起こるものがあります。心臓病や肺気腫などで慢性的に低酸素状態の方にみられます。腎臓腫瘍などに併発することがあります。
喫煙も原因の一つです。血中酸素が不足し、血液が濃縮されることなどが関与すると考えられます。
これらに加えて、血液の病気としての多血症があります。血液を造るもととなる造血幹細胞でJAK2という遺伝子に変異が起こることで発症します。これを真性多血症と呼びます。
このように、多血症といっても様々で、まずは原因究明が必要です。専門医の受診をお勧めします。
診断では通常、エリスロポエチンが増えていないか、JAK2遺伝子に変異がないかをまず調べます。
真性多血症は、脳 梗塞 や心筋梗塞などの血栓症が起きやすくなるため、予防のためアスピリンを用います。また、血液の量を減らす 瀉血 も行います。
60歳以上や、血栓症を起こしたことのある方では、薬物で赤血球の増加を抑える治療も必要です。喫煙は多血症の原因でもあり、真性多血症の場合でも血栓の危険性を高めるため、禁煙をお勧めします。