教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
どれくらいの残業で体を壊す?
月45時間から危険性


Q 最近、仕事漬けだよ。
ヨミドック 残業が長く続くと体を壊しますよ。
Q どのくらいの残業で病気になるのかな。
ヨ 働きすぎで病気になったり、死亡したりすると労災に認定される可能性が出てきます。その判断基準として、国が示している残業時間は「発症前1か月間に100時間」または「発症前2~6か月間で月あたり80時間超」です。ただ、月45時間を超えて残業が長くなるほど脳卒中や心筋 梗塞 の危険性が高まる、という報告を国の有識者会議がまとめています。
Q 残業を月45時間以内に収めるとなると、1日平均2時間くらいにしないと。仕事終わらないよ。
ヨ 海外でも労働時間が週55時間以上になると、脳卒中のリスクが週35~40時間の場合の1・3倍になるとの研究結果が発表されています。週55時間以上は、日本に当てはめると1日平均3時間以上の残業ですね。海外は環境が異なるのであくまで目安です。いずれにしても残業が長くならないようにしましょう。
Q そもそも、長時間の残業でなぜ病気に?
ヨ 精神的ストレスと睡眠不足が要因です。これらが高血圧を招き、脳梗塞や心筋梗塞につながります。また、睡眠時間が約5時間半より短いと、抑うつ状態になるリスクが、7時間近くの睡眠を確保できた場合の3倍強になるという報告もあります。
Q 他にも職場には問題があるよね。

ヨ 上司や同僚とのトラブルや、セクシュアル・ハラスメントなどですね。残業ゼロでも精神障害を負い、労災が認定されることも多いです。職場には、長時間労働を防ぐための仕事量の適正な配分と併せ、快適に働ける職場作りが求められます。
Q 健康に働き続けたいね。
ヨ それにはまず、帰宅後のスマートフォンやインターネットの長時間の利用は控えましょう。疲れている体にさらに緊張を強います。家族だんらんや趣味の時間を持ちリラックスできれば、眠りに就きやすくなります。
(米山粛彦/取材協力=高橋正也・労働安全衛生総合研究所部長、宮崎洋介・産業医科大学ストレス関連疾患予防センター特任助教)
ヨミドックは読売新聞の医療介護サイト「ヨミドクター」のお医者さんキャラです。