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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

医療・健康・介護のコラム

脳内から「雑音」…MRIで異常なし、視覚は大丈夫?

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眼球と脳の共同作業…「快適に見えない」状態とは

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 視覚が正常に機能するには、眼球と脳の共同作業が必要です。

 言い換えると、「眼球が正常なら、ものは見えるはずだ」「脳が正常なら、ものは見えるはずだ」という考え方はいずれも間違いです。眼球も脳も正常で、かつ両者が手を携えていなければ、ものは正確かつ快適には見えないのです。「快適」とは、「見る」という作業自体を意識しなくてもよく、不快感がないことです。

 この共同作業の過程の中で、いろいろな形で不調や「雑音」が出れば、「ぼやける」「まぶしい」「目の疲労感」「目の痛み」などの症状や、A子さんのような「光視症」といった自覚症状が生じます。

 眼球に病気がなければ、不調の原因は脳という視覚情報の受け取り側にあることは間違いなく、脳の90%近くは視覚情報処理に何らかの形でかかわっているとされますが、視覚に関係する神経伝達系にちょっとしたズレが生じている状態を示唆します。

 しかし、そのズレはごく微細な信号伝達の不調ですから、脳の形を見るだけのMRIやCTに映ることはありません。

 ただ、普通のMRIとは別の方法でとらえられる可能性もあります。脳内の血流分布や糖質の代謝状態などを画像化して類推する手段ですが、解像度の問題や、治療に結びつきにくいことから、まだ臨床では一般的ではないのです。(若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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