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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

医療・健康・介護のコラム

脳内から「雑音」…MRIで異常なし、視覚は大丈夫?

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細かい光が視野に…

脳内から「雑音」…MRIで異常なし、視覚は大丈夫?

 「先生、脳外科へ行ってMRIを撮ってもらいましたが、異常なしということでした」

 これは、細かい光が視野にしばしば現れて気になるという自覚症状で来院した40歳代の女性、A子さんの話です。

 左右同時に出現しているということでしたので、眼球に原因があるのではなく、脳にあると考えられます。脳内の視覚に関連する部位から出ている不要な視覚信号「雑音」による症状で、専門用語では「中枢性光視症」といわれます。

 前回の診察では、このような説明をして、「心配には及ばない」と説明しましたが、彼女は「脳から雑音が出ているなら脳外科に行かなくてはいけない」と、脳外科を受診したのでしょう。

 彼女の言葉を聞き、私は説明不足だったことにすぐに気づきました。

 心配には及ばないことだけでなく、そういう雑音は、画像診断ではとらえることはできないことや、その現象に対してどう対応すればよいかということまで伝えておくべきだったのでしょう。

眼科医にかかっている場合ではない?

 私の外来は予約制で、一日の診察患者数を制限しています。とはいえ、それでも一人ひとりにたっぷり時間をかけることはできず、診察の続きは次回に、となることも少なくありません。

 A子さんについては、緊急を要する事態ではありませんでした。次回までに、その症状がどのような条件で、どのくらいの間隔、どれほどの時間起きているのか、日常生活においてどう影響を及ぼしているのかを評価しようと思いました。つまり、しばらく様子をみようと考えて、2,3か月後の再診予約にしたのだと思われます。

 しかし、いきなり「脳の問題だ」と言われた患者さんにとっては、「これは大変だ、眼科医にかかっている場合ではない」と思ったのかもしれません。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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