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在宅療養への移行促す…診療報酬・介護報酬、同時改定

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 来年4月の診療報酬・介護報酬の同時改定では、団塊の世代全員が75歳以上になる「2025年問題」への対応が重要テーマとなる。医療では、重症者向けの過剰な急性期病床を減らす一方、患者にリハビリテーションなどを行い、早く在宅療養に移行できるようにしていく。

在宅療養への移行促す…診療報酬・介護報酬、同時改定

 

 「以前より足が出るようになりましたね」

 石川県南西部の能美市にある 芳珠ほうじゅ 記念病院(320床)。廊下で歩行訓練を行う男性患者(80)に、理学療法士の岩上倫太朗さん(27)が付き添う。

 この患者が入院しているのは、在宅復帰を支援する地域包括ケア病棟だ。多職種が連携してリハビリなどを行う。地域包括ケア病棟協会によると、全国約2000病院にあり、推計約6万4000床に上る。

 同病院の地域包括ケア病棟はこれまでに延べ約4600人の患者を受け入れた。退院後に自宅などに戻る割合(在宅復帰率)は88%に上る。協会会長の仲井 培雄ますお さんは「『ときどき入院 ほぼ在宅』を目指す上で、この病棟が果たす役割は大きい」と力を込める。

 病棟(病床)は、機能に応じて看護師の配置数などが異なる。患者7人に看護師1人と、手厚い体制でがん患者などをみる「7対1病床」は入院基本料が最も高く、約35万床と多い。14年度に9万床の削減が打ち出されたが、微減にとどまる。

 来年度の改定では、7対1に必要な要件のうち重症患者の割合を上げるなどして、絞り込みを図る方向だ。一方、介護への橋渡し役にもなる地域包括ケア病棟は報酬を手厚くして、7対1病床などからの転換を促すことが検討されている。

 京都市の市街地にある堀川病院(236床)は14年8月、7対1病床の一部を転換し、地域包括ケア病棟(104床)を設けた。事務長の山田正明さんは「それまでの7対1には、手厚い看護が必要ない、症状が安定した患者なども入院していた。周りの大きな急性期病院と競うのは、この病院の役割ではないと判断した」と語る。

 近くには京都大学病院などの大病院も多く、他病院との連携を強化する。医療提供体制の効率化に向け、それぞれの地域で病院の役割分担が求められている。

紹介状なし 追加負担の対象拡大

 

 次期改定では、「かかりつけ医」「かかりつけ薬剤師」の普及を加速させることも大きな課題だ。

 ありふれた病気でも大病院を受診する患者が後を絶たない。そのため紹介状なしで受診した患者から初診時に、5000円以上の追加負担を求めなければならない病院の範囲を、現在の500床以上(約260病院)から広げる方針だ。これにより身近な「かかりつけ医」への受診を促す。

 また、患者ごとの服薬情報を管理する「かかりつけ薬剤師」では、「かかりつけ」の機能を発揮した場合に報酬を上乗せするか検討する。

 このほか、スマートフォンなどによる遠隔診療は報酬をつける対象を増やす方針。糖尿病などの重症化予防で、日常的な健康指導などに活用してもらう。薬価部分では、がん治療薬「オプジーボ」など高額薬が相次いで登場するなか、費用対効果が悪い場合、価格を引き下げる。

  <診療報酬・介護報酬>  診療報酬は医療行為や薬の対価として医療機関や薬局が受け取るお金。介護報酬は介護サービスを提供した事業者が受け取るお金。報酬は、国が望ましい方向に医療機関や介護事業者を誘導する手段にもなっている。来年度は6年に1度の同時改定にあたる。

 (西原和紀)

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