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アレルギー治療で重症9人…「経口」試験・療法の子ども

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 日本小児アレルギー学会は19日、アレルギー専門医療機関への全国調査で、食物アレルギーの検査や少しずつ食べて体に慣れさせる経口免疫療法に関連して、少なくとも7医療機関で9人が、人工呼吸器が必要になるなどの重いアレルギー症状を起こしたことが分かった、と発表した。

 今回の調査は、神奈川県立こども医療センター(横浜市)で牛乳アレルギーに対する経口免疫療法の臨床研究に参加していた子どもが一時的に心肺停止になったことを受け、同学会が緊急で実施。宇都宮市で開かれた学術集会で報告した。

 食物アレルギーの専門治療を行っている344医療機関を対象に行い、286施設(83%)が回答した。

 その結果、同センターを含め、16医療機関で18人に重いアレルギー症状が出たことがわかった。

 発生状況は、原因となる食物をどのくらい食べれば症状が出るかを医療機関で調べる経口負荷試験で5人、医療機関や自宅での経口免疫療法で4人だった。こうした医療行為関連で後遺症を伴ったのは、同センターの子ども1人だった。

 そのほか、8人は避けていた食物を口にしてしまった誤食で、うち2人に記憶障害などが残った。残り1人の状況は不明だった。

 経口免疫療法は近年急速に広まり、日本医療研究開発機構の2015年の調査では、102施設で約8000人が受けていた。

 調査を行った同学会の海老沢元宏・食物アレルギー委員長は「重症例をさらに調査し、経口負荷試験や免疫療法をより安全に行う方法を探っていきたい」と話し、治療中の患者に対しては「主治医を信頼し、悩みがあればすぐに相談してほしい」と呼びかけた。

安全性向上の研究を

 食物アレルギーは成長に伴って徐々に減るが、小中高生の22人に1人が悩んでいる。原因食物を避け続ける不便さや、誤食による意識障害・呼吸困難などの激しいアレルギー症状(アナフィラキシーショック)の懸念が常につきまとう。

 有効な治療薬もない中で、原因となる卵、牛乳などを少しずつ食べて体を慣れさせる経口免疫療法は大きな福音となっている。食物の種類で効果は違うが、3~8割の患者で症状が出なくなるという報告もある。

 しかし、アレルギー症状が誘発されやすく、保険診療は認められていない。日本小児アレルギー学会は指針で「臨床研究で慎重に行うべきだ」としている。

 今回、医療行為関連の重い症状が複数報告されたが、より安全を高めるための研究を積み重ね、被害を最小限に抑えるための電話相談や救急搬送などの体制を整えていくべきだ。(医療部・竹井陽平)

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