安田記者の「備えあれば」
医療・健康・介護のコラム
永代供養 気になる費用
このコラムの読者から、手紙やメールをいただくことがあります。記事への感想や意見だけでなく、「墓の悩み」をつづった内容が目立ちます。
その中の一人、関東地方に住む70歳代の女性の手紙を紹介します。女性は、自宅から車で約30分の場所にある霊園に墓を持っています。眠っているのは、両親ら計4人。墓参りにも行きやすく、特に不満はなかったのですが、最近、霊園から、「墓を継ぐ人がいなければ、敷地内の合葬墓に遺骨を移しませんか」と勧められました。
合葬墓は、血縁などに関係なく、いろいろな人の遺骨を一緒に納める墓です。供養をしてくれる親族がいなくても、代わりに寺や霊園がお盆や彼岸などに供養してくれます。「永代供養」といい、寺や霊園が存続する限り、無縁仏になる心配がありません。
ところが、霊園によると、遺骨を移し永代供養をしてもらう費用は1体30万円程度、4体で約120万円。これとは別に、墓を更地に戻すための工事費もかかると説明されたそうです。
この墓は元々、女性の両親が建て、その後、両親が亡くなり、女性が受け継ぎました。ただ、永代供養の費用について、女性は知らなかったそうです。
墓を継ぐ人がいないわけではないのですが、「墓のことで負担をかけたくない気持ちもある。でもこんなに費用がかかるとは……」と思案中です。
墓の総合情報サイト「いいお墓」を運営する鎌倉新書(東京)の田中哲平さんは、「永代供養の費用は、寺や霊園によって様々。1体30万円は少し高い感じもしますが、東京など都市部では珍しくありません」と話します。
私が4年前に買った墓は、後継ぎがいなくなったら、合葬墓に遺骨を移し、永代供養をしてくれることになっています。永代供養の費用も含めて墓の販売価格(約80万円)が設定されていました。こうした墓地は増えつつあるようです。
墓を購入する場合も、親などから受け継ぐ場合も、将来を見据えて検討する必要がありそうです。(社会保障部 安田武晴)
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このコラムでは、父親を見送った記者(48)が、最期に備えるための情報をお伝えしています。
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