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コラム

超クール!「超福祉展」

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渋谷で認知症のシンポジウム

 認知症の人が接客するレストラン「注文をまちがえる料理店」がテーマのシンポジウムが、今月11日に東京・渋谷で開かれました。私も、このレストランのことを報じたメディアの側から、少しお話をさせていただきました。

超クール!「超福祉展」

「超福祉展」で開かれた「注文をまちがえる料理店」のシンポジウム。客席は満員で、関心の高さがうかがえた

 「注文をまちがえる料理店」は、今年6月と9月に期間限定で東京都内にオープンしました。認知症の人が接客するのでいろいろとミスも起きますが、店名の通り、間違えるのが当たり前ですから、どうか大目に見てください――という試みです。認知症の人が間違えることを、問題視するのではなく、受け入れて一緒に楽しんでしまおうという考え方が評判を呼び、国内外のメディアで大きく取り上げられました。

 シンポジウムには、このレストランを企画したテレビ局ディレクターの小国士朗さんも参加しました。小国さんは、取材で訪れたグループホームで「今日のお昼はハンバーグ」と聞いていたのに、実際にはギョーザが出てきた、というエピソードを話してくれました。その時「みんな、ギョーザをおいしそうに食べていた。だったらメニューを間違えても、別にいいんじゃないか」と思ったのが、この企画のきっかけになったのだそうです。

障害があってもなくても「カッコイイ」

 このシンポジウムは、11月7~13日に開催された「超福祉展」の一環です。正式名称は「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」。今年で4回目を迎えました。

 「チョーフクシテン」という小気味よい響きとともに、「スタイリッシュで高性能な車椅子など、一見、福祉機器らしからぬ福祉機器を渋谷で展示している」「手足が不自由な人でもはきやすいスニーカーは、『デザインがカッコイイ』と、障害のない若者がこぞって買い求めているらしい」などの うわさ が広まり、私も耳にしていました。これまではタイミングが合わず、取材する機会を逃し続けてきたので、今回はわくわくしながら会場に足を運びました。

 私が訪れた日は、土曜とあってかなりのにぎわいでした。若者や子どもたちの姿も目立ち、音声を文字にして映し出す眼鏡などの機器を楽しそうに体験していました。私も、認知症の人から見た世界を再現したバーチャルリアリティー(仮想現実)システムを試してみました。「実際には数十センチの高低差が、認知症の人には何メートルにも感じられることがある」といったことも、知識としては持っていましたが、この体験で、怖さを感覚的にも理解することができ、ドキドキしました。

バリアを超越する力に

バーチャルリアリティーを体験する来場者ら

バーチャルリアリティーを体験する来場者ら

 「社会を動かしたい」と大きなことを考える時、その 高邁こうまい な理念を推進する原動力になるのは、もしかしたら、「楽しい」「気持ちいい」「かわいい」「カッコイイ」といったシンプルな感覚なのかもしれません。それが、「超福祉展」と「注文をまちがえる料理店」をつなぐ共通点なのだと気づきました。

 両者が目指すのは、障害者や認知症の人などのマイノリティー(少数者)とその他の人たちが、それぞれの違いを受け入れて共に暮らせる社会です。私たちの生活に「楽しい」や「カッコイイ」が増えていき、その力で人々を隔てる障壁を超越することができたら、それこそが「超クール」。シンポジウムと取材を通じて、そんなことを考えました。(ヨミドクター副編集長 飯田祐子)

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yomiDr編集室よりver03

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ヨミドクターの編集担当者が、小耳にはさんだ健康や医療の情報をご紹介。お勧めのコラムに込めた思いなどもつづります。

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