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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

医療・健康・介護のコラム

知らなかった「障害者特例」…医師の「無知」と患者の権利

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社会保険労務士からの指摘

知らなかった「障害者特例」…医師の「無知」と患者の権利

 事故や病気で障害を負った時に支給される「障害年金」については、私はそれなりに勉強して知っているつもりでした。しかし特別支給の老齢厚生年金の「障害者特例」については、先日、社会保険労務士(社労士)に指摘されるまで、全く知りませんでした。

 障害者特例とは、一定の要件を満たしている障害者に対して、老齢厚生年金(定額部分)の受給期間が追加される制度です。これは1985(昭和60)年に、厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳へと段階的に引き上げられたことで生じた特別制度なのです。

 厚生年金に1年以上加入していたことがあるが現在は加入していないこと、現在60歳以上65歳未満であること、そして障害認定基準の別表で3級以上の障害があることが条件です。

 さらに、この障害者が、支給開始年齢が段階的に引き上げられる年代にあたることが特例の要件ですので、男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前に生まれた人が該当します。

制度について知らない…適切な診断書を書けない?

 障害者特例の制度を知ったのは、重度の 眼瞼がんけん けいれんの患者が社労士に相談したことがきっかけでした。

 ちなみに眼瞼けいれんは、3級より軽い障害に対して支給される「障害手当金」の等級です。しかし、症状が治らず、障害手当金に相当する程度の障害の状態がある場合は3級に相当する可能性があることが、運用基準に定められていますので、社労士のいうとおり、申請する資格はあったのです。

 そもそも医者が、障害者特例の制度について知らなければ、患者に情報を提供できません。また、患者が勉強して、医者に診断書を書くように求めたとしても、医者の方は、制度のどの部分を頼まれているのかわからないため適切でない記載をしてしまうこともあるでしょう。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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