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医療・健康・介護のニュース・解説

「1日8千歩」が健康に良い歩き方…マラソンやジョギング、しない方が良い?

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 長い間、健康に過ごせる人と、そうでない人。その違いはどこにあるのか。それには、「歩き方」が大きく関わっている。ただし、「歩き方」にも、健康に良い歩き方と悪い歩き方とがあるので、注意が必要だ。健康に良い歩き方を正しく実践すれば、高血圧や、骨粗しょう症、さらには、がんや認知症などを遠ざけることにつながるという。歩き方と健康との関係を長年研究し続けている医学博士で、東京都健康長寿医療センター研究所・運動科学研究室長の青柳幸利さんに、お話を伺った。

やりすぎはダメ 長く健康でいるための歩き方

――青柳さんが、長年の調査・研究から導き出された歩き方と健康の新常識とは、ずばり何でしょうか。

青柳  「歩き過ぎはダメ」ということです。皆さん「運動しないと体に良くない」とわかっていても、とかく「やればやるほど良い」と勘違いする人が多いのです。歩き過ぎれば、健康効果は頭打ちになり、ケガにもつながります。特に年を取ると、膝を痛めたことがきっかけで、動けなくなる人が結構多いのです。そうなっては本末転倒です。

「毎日1万歩以上」「できるだけ速く」…は「×」

 内閣府の調査によると、この20年間でウォーキングをする人の割合は、倍以上に増えた。ウォーキングは、最も親しまれている身近な運動になった。普段からウォーキングをしている人たちは、どんな点に留意しているのか。東京・足立区の荒川土手で声を集めた。

 「毎日やらないと嫌になる。1時間半~2時間、1万5千~1万8千歩」「週3回、毎回約1時間。腰を痛めたので、無理のない程度にジョギングをしている」「週3回くらい、疲れたらやめる」「毎日10キロは歩く。きっかけは病気。大股にしないと筋力が付かないような気がするので大股で歩く。だらだら歩くのと、全然体調が違う」

――みなさん自分なりの考えを持って歩いていました。では、どこが正しくてどこが正しくないのか。まず歩数。「最低でも1万歩」と考える人が多いのではないでしょうか。これは良いのですか。

青柳  「○」か「×」かで言えば、「×」です。

――「長ければ長いほど良い」?

青柳  「×」ですね。

――3つ目。「毎日とにかく続けなきゃダメ」。

青柳  これも「×」にしておきます。

――「×」ですか。速度。「速いほど良い」。

青柳  「×」です。速過ぎは良くない。ほどほどが良いです。

――「朝、犬の散歩をする」という人も多いようでした。

青柳  時間帯も大事です。「絶対ダメ」ではないですが、朝は基本的にやらない方が良いのです。

――仕事であちこちに出かけ、よく歩く人は安心ですか?

青柳  活動の量と質のバランスもありますから、歩いていれば良い、という訳ではありません。歩数が単にだらだらと増えるだけだと疲れやすく、慢性疲労が残ったりします。

――仕事によっては移動がなく、店の 厨房(ちゅうぼう) にずっと立って仕事、という場合もありますね。

青柳  立ち仕事は、重労働な割に病気になりやすいです。血液の流れが滞ることがあります。ずっと立っていると、血液還流が重力に逆らうので、足がむくんだりします。そうすると、夜トイレに起きやすいなど、色々な問題が出てきます。

――ウォーキングではなく、マラソンやジョギングをするのは?

青柳  楽しみでやる分には良いのです。「健康のため」ならば、しない方が良いです。膝にかかる負荷が大き過ぎます。「運動をしなければ」と、過剰にやってしまうと、膝や腰を痛めたりします。

――ジョギングやマラソンは、中高年になってから始める人が多いですね。

青柳  動脈硬化が進む可能性も出てきます。極力、無理をしないことです。

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