安田記者の「備えあれば」
医療・健康・介護のコラム
遺言完成複雑な気持ち
このコラムの取材を通じ、遺言に関心を持った私は、自分自身の遺言の作成を思い立ちました。10月初めに東京都内の公証役場を訪問。約1か月後、完成しました。
A4判の冊子で、中には薄い紙が6枚。私名義の不動産や預金など一切の財産を妻に相続させる――という内容が横書きされています。
不動産(自宅マンション)については、建物の構造や床面積など、預金については、銀行・支店名や口座番号が明記されています。ちなみに、具体的な不動産評価額や預金額は書かれていません。評価額や預金額が変動するたびに、内容を訂正する必要はないのです。
このほか、
公正証書遺言を作るには、証人2人の立ち会いが必要です。親友2人に頼み、今月初め、公証役場に一緒に来てもらいました。公証人が文面を読み上げ、私と証人2人が署名、押印し完成です。原本は公証役場で保管し、私には正本と謄本が渡されました。
最後に作成手数料を支払って終了。手数料の算出方法は国のルールで決められています。財産額や相続人数などによって異なり、5万円以上かかる場合もあるので、確認してください。
手数料が高いのが公正証書遺言の難点ですが、30歳代で作る人もいるそうです。作成件数は増加傾向にあり、2016年には全国で約10万5000件に上りました。「遺言を作ったら気持ちが整理され、仕事により身が入るようになった」と言う人もいるとか。
私は、死が身近に感じられ、そこまで前向きにはなれませんでした。遺言を読んだ妻も、どう反応してよいのか戸惑った様子です。
とはいえ、遺言は、相続を巡って遺族に面倒をかけないための有力な手段。複雑な気持ちを抱えながら、完成した遺言を、そっと引き出しにしまいました。(社会保障部 安田武晴)
このコラムでは、父親を見送った記者(48)が、最期に備えるための情報をお伝えしています。
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