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いちばん未来のシニアのきもち

医療・健康・介護のコラム

歩いている高齢者にハラハラすることないですか?

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 こんにちは、慶成会老年学研究所の宮本典子です。

 高齢者は、超高齢社会のいちばん先をいく人たちです。共に生きやすい社会をつくることは、次の世代の未来をつくることになると思いませんか?

 みなさんは、高齢者の歩き方にハラハラ、ドキドキしたことはありませんか?

横断歩道を渡りきれない高齢者

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 私の仕事場の前に、片側3車線の大きな道路があります。時々窓越しに目をやると、高齢者がまだ半分くらいしか渡れていないのに信号が変わってしまい、危ない! 大丈夫かしら? と気をもむことがあります。

 道路の中央に緑地帯はありますが、だからと言って、横に移動して、そこで止まっていられるような幅でもありません。むしろそこにいては危険なくらいです。

 高齢者たちは、最後は小走りになり、青信号になった側の車が待つことで、無事に反対側に着く、という状態です。緊張して見ていた私も、これでやっとほっとします。

 健康的な日常生活を維持するために歩くことは能力を維持する上では不可欠ですが、加齢による運動機能の低下は避けられません。たとえば;

・高齢になると、歩幅が小さくなって歩く速度が遅くなります。

・地面から足を十分上げられない「すり足」も多くなります。

・体幹を支える筋力が衰えて体が前後に動くようになり、バランスも取りにくくなります。

 こうなると、つまずいて転倒しやすくなります。そのときは骨折する危険性が高く、骨折をきっかけに、寝たきりになってしまう人が少なくありません。

 信号が変わるからと、急いで転倒し、けがをしては本末転倒です。高齢者にとって、転ばないように歩くことは重要課題です。

 あわてずに済むように、青信号時間の延長ボタンの設置箇所が増えるとよいとは思いますが、場所によっては車の通行量を考慮する必要があり、普及はそう簡単なことではないようです。

 最近は横断歩道内に歩行者がいるとセンサーが働き、青信号の時間が延長される、というシステムもあるようです。少しでも安全な環境になってほしいと思います。

 当の高齢者たちも、歩くときは不安を感じています。

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宮本典子(みやもと のりこ)

 慶成会老年学研究所主任研究員。 臨床心理士。

 聖心女子大学文学部歴史社会学科人間関係(現人間関係学科)卒業。

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 主に認知症高齢者、高齢期のうつ病の心理療法及び介護家族の心のケアにかかわる。自宅で暮らす高齢者や認知症の人を対象に、情緒の安定や認知機能の低下予防をめざす心理療法プログラム「ユリの木会」を運営している。共著に「認知症と診断されたあなたへ」(医学書院)、編著に「いちばん未来のアイデアブック」(木楽舎)がある。

慶成会老年学研究所

 高齢社会に関する心理学的、医学的臨床、研究、及び教育・研修を行う研究所として、1988年に設立。現在、心理学の専門家によって、高齢者と家族を対象にしたカウンセリング、専門職や一般企業への教育・研修と、高齢者と高齢社会に関する学際的な研究を行っている。

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