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医療・健康・介護のコラム
成長期の腰痛は疲労骨折かも!? ―腰椎分離症―
どうも、大関です。腰痛は直立歩行をするようになった人間の宿命と言われるくらいで、多くの方が経験していると思います。しかし、成長期の段階で生じる腰痛は宿命でも何でもありません。今回は成長期の腰痛についてお話しします。
中学生野球選手のケースです。
中学2年生のD君。ポジションはキャッチャーで、バッティングには自信があります。しかし、半年ほど前からバッティング時に腰痛を感じるようになり、練習を休むことも出てきました。特に腰を反らせる動作のときに痛みました。最近は日常生活でも腰痛があるとのことです。
成長期の腰痛は要注意。「疲労骨折」を生じていることもあるからです。疲労骨折とは、外から小さな力が繰り返し何度も加わることにより、徐々に骨折が生じることをいいます。1度の力による骨折だと、激痛のためすぐに医療機関を受診しますが、疲労骨折の場合はそこまで痛くないため、受診までに時間がかかるケースも多いのです。
腰椎の疲労骨折は、関節突起間部といわれる場所に起きます。腰椎の中でも後方の部位で、腰を反らしたり、回したりする動作のときに負担がかかります。疲労骨折は、初期の場合、単純なX線検査では判別できず、CT(コンピューター断層撮影)あるいはMRI(磁気共鳴画像)検査で診断されます。進行すると骨折した部分で腰椎が離れるため、「腰椎分離症」と呼ばれています(下図)。
腰椎分離症は、初期であれば、骨がくっつく( 癒合 する)ことが期待できます。しかし、進行期、末期と進むにつれて分離は進み、癒合の確率は減っていきます。そのため、できるだけ初期の段階で治療を開始することが大切です。初期なら、腰を反る動きなどを制限するコルセットを装着した上、3か月間スポーツを休みます。これなら、約90%のケースで骨が癒合します。
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画像診断と臨床所見の乖離と適切な医療
寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受
他紙で腰部脊柱管狭窄症の画像診断と治療の記事に若干の誤りがあったのでコメントを入れました。 「レントゲンやMRIでの脊柱管狭窄や神経圧迫の画像所...
他紙で腰部脊柱管狭窄症の画像診断と治療の記事に若干の誤りがあったのでコメントを入れました。
「レントゲンやMRIでの脊柱管狭窄や神経圧迫の画像所見だけでは不十分で、痛み止めの注射の効果判定が重要」とあり、撮像された画像そのものおよび画像診断と実際の神経へのダメージにはギャップがある可能性があるということで、その部分は正しかったのですが、一方で、「かかりつけ医により手術が必要とされたケースでも、新しい鎮痛剤で症状を抑えられることが多い。」とあり、開業医で一般的ではない新薬の効果の宣伝のように見えました。
これは患者さんへのミスリードに繋がります。
本文にも重なりますが、症状を抑え込めるということは治るとはイコールではありません。
より重症例でもしばらくは症状を緩和できる薬があるということで、重症度の高い状況に関して、患者さんや家族の意向に合わせて薬物とリハビリと手術の選択肢があるということです。
スポーツによる疲労骨折の場合、リスクを背負ってでも、学生時代の思い出の大会をやり遂げたい選手も多いでしょうから、そういう中で、薬物や手術だけではなく、どういったリハビリやプレースタイルの変更などを提示し、支えていくのか、特にスポーツの経験のある医師の関与すべきポイントではないかと思います。
今思えば、自分の学生時代はスポーツ医学も細やかな対応などなく、鎮痛剤などもかなり適当に服用していた記憶があります。
新薬を否定したいわけではなく、臨床所見や画像診断とあわせもって、新薬の役割や位置づけを考えることがより高次の適正医療になるのではないかということです。
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