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安田記者の「備えあれば」

医療・健康・介護のコラム

改葬で自宅近くの墓へ

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デザイン部・小林早希

デザイン部・小林早希

 ミドル世代の中には、親や親戚から「墓の後継ぎ」を頼まれた人もいると思います。多くの墓は、家族や親族が代々受け継ぎ、維持していくからです。しかし、墓が遠方にあり、法要や掃除などがままならないケースも多いようです。自宅近くに墓を建て、遺骨の引っ越しをする人もいます。

 遺骨の引っ越しは、「墓地、埋葬等に関する法律」で「改葬」と定められ、市区町村の許可を得て行います。厚生労働省によると、全国で2015年度に9万1567件の改葬が行われました。

 役所で手続きをしたり、墓から骨つぼを取り出す作業を石材店に依頼したりと、改葬には何かと手間がかかります。すべて自分でやるのはたいへんです。そこで、仏事関連会社などが代行サービスを提供しています。

 「メモリアルアートの大野屋」(東京)は、14年8月に「お墓の引越しおまかせサービス」を開始。年間200~300件の改葬を手がけています。道が舗装されていない山中にある墓を改葬した例もあるそうです。改葬にかかる期間は平均で半年程度。費用は、遺骨の数や移動距離などにより様々です。

 「ユニクエスト・オンライン」(大阪)の代行サービス「お墓のお引越し」は、区画面積が3平方メートルまでの墓の場合、基本プランが24万9000円(税込み)の定額です。16年10月の開始以来、約90件を受注しました。3か所ある墓を1か所にまとめた例もあります。

 代行サービスを利用すれば、かなりの部分を任せることができます。ただ、寺が経営する墓地の場合、基本的に自分で住職に改葬の了解を得る必要があります。

 先祖の遺骨をすべて取り出して、墓そのものを撤去すると、一般的に、その寺の檀家だんかでなくなります。檀家はお布施などで寺を支えているので、寺にとって痛手です。檀家の側も、先祖代々お世話になってきたので、言い出しにくい面があります。中には、数百万円の「離檀料」を寺から要求されることもあるようです。改葬代行会社に相談すれば、アドバイスしてくれます。(社会保障部 安田武晴)

 このコラムでは、父親を見送った記者(48)が、最期に備えるための情報をお伝えしています。

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安田武晴(やすだ・たけはる)

2002年から社会保障部。介護、年金、障害者支援、地域福祉、終活などを取材。13年、社会保険労務士国家試験合格。妻、愛猫「しじみ」と暮らしている。

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