落語家 林家木久扇さん
一病息災
[落語家 林家木久扇さん]喉頭がん(1)声かすれ回答頼む
衆議院選挙まっただ中の10月中旬、横浜市での落語会。日本テレビの人気番組「笑点」のテーマ曲と共に、派手な金色の着物で舞台に現れた。
「選挙とかけまして『どんぐりころころ』の歌と解く」
その心は――。
「小池にはまって、さあ大変」
選挙をテーマに30分間、田中角栄や、師匠・林家彦六(1895~1982年)の声色やしぐさをまね、観客を爆笑の渦に巻き込んだ。
自身の病気も笑いにする。「3年前、(がんがのどの部分にできる)喉頭がんになりまして、全然声が出なくなっちゃったんです。治療に使った放射線の機械が10億円。木久蔵ラーメンだと360万食」
とぼけたギャグといじられキャラで、子どもからお年寄りまで「木久ちゃん」の愛称で親しまれる「黄色い着物の人」。笑点出演は47年の最古参で最年長だ。
声のかすれた姿が笑点で放送されたのが2014年7月だった。大喜利で当時の司会、桂歌丸さんのお題に、手を挙げたものの、ほとんど声が出ない。右隣の三遊亭好楽さんに耳打ちし、代わりに回答してもらった。客は新たなギャグかと、いつも以上に笑ってくれた。
風邪かと思っていたが、声は戻らない。毎月通院している東京都内の大学病院を受診し、精密検査を受けると、「喉頭がんで、ステージ(病期)2です」と告げられた。命の心配以上に、「仕事はどうなるんだ」という不安の方が大きくのしかかった。
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落語家 林家 木久扇 さん(80)
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