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3年続ければ、花粉症抑制効果…舌の下にエキス垂らす免疫療法

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3年続ければ、花粉症抑制効果…舌の下にエキス垂らす免疫療法

 スギ花粉エキスを舌の下に垂らし、アレルギー体質の改善を目指す「舌下免疫療法」が2014年に保険適用になって3年。千葉市の介護福祉士、黒沼めぐみさん(46)は3年間治療を続け、「年を経るごとに目、鼻、喉の症状が改善してきた」と感じる。最低2年以上の継続が必要とされる治療だが、患者の経過を追跡した千葉大学病院のチームは「3年は続けた方が良さそうだ」との見方を示している。(高橋圭史)

自宅で簡単に服薬

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 舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質のエキスを1日1回、舌の下に含み、少しずつ体を慣らして症状の抑制を目指す治療だ。医療機関で注射を受ける免疫療法に比べ、痛みがなく、自宅で簡単に服薬できる。

 14年にスギ花粉症用の液体の薬剤が、15年にダニによる通年性アレルギー性鼻炎用の錠剤が、保険適用になった。薬剤を舌の下に含む時間は液体が2分間、錠剤が1~2分間程度。その後のみ込む。これまで使えなかった12歳未満の子どもも対象とする新しいスギ花粉症用の錠剤が9月に国の承認を得ており、来年にも使えるようになりそうだ。

 副作用は、多くが軽症だが、口内の腫れや口内炎などが出ることがある。極めてまれだが、呼吸困難などのショック症状に陥る可能性もある。

 千葉大病院では、スギ花粉症の舌下免疫療法を14年度に開始した患者に、毎シーズン後、鼻炎薬の使用状況などについてアンケート調査を行ってきた。対象者は1年目が30人、2年目、3年目がそれぞれ24人だ。

 点鼻薬と飲み薬を両方使用せずに済んだ人の割合は、1年目は23%で、2年目は54%、3年目は58%と上昇。一方、どの年も両方使用した人が13%いた。

 治療の満足度についても、「とても満足」または「満足」と回答した人の割合は、1年目の67%に対し、2年目は79%、3年目は92%と年々増加した。

 くしゃみ、鼻水、目のかゆみに悩んだ黒沼さんも1年目のシーズンは点鼻薬、飲み薬、目薬が欠かせなかったが、2年目には点鼻薬が不要に。3年目は飲み薬もほぼ不要になり、目薬の使用も大幅に減少した。

治療期間に幅も

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 同病院耳鼻咽喉・ 頭頸とうけい 部外科の診療講師、米倉修二さんは「花粉飛散量の変動なども影響するので、今回の調査だけで断定はできないが、3年続けた方が鼻炎薬が不要になる人が増え、効果が補強されていく傾向がうかがえる」と話す。

 では、この治療は何年続けなければいけないのか。

 専門医らのグループによる鼻アレルギー診療ガイドライン(指針)では、治療期間について「2年以上。3~5年が推奨」と幅のある記載をしている。

 臨床研究で1年半治療を受けた患者に、終了して5年後の状態を尋ねた同病院の調査では、4割が効果が弱まったと回答。また、欧州の研究チームが行ったイネ科花粉症に対する舌下免疫療法の研究では、治療を3年続けると、やめた2年後にも効果が持続するが、治療を2年でやめると1年後には効果がみられなくなる、と報告された。

 米倉さんは「スギ花粉症などで、治療をどれだけ続ければ効果が長く続き最も効率的か、さらに検証を重ねる必要がある」と語る。

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