文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

安心の設計

介護・シニア

入居者囲い過剰介護…サービス付き住宅に批判も

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
入居者囲い過剰介護…サービス付き住宅に批判も

 年をとり自宅での一人暮らしが難しくなった人にとって、賃貸のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、住み替えの有力な選択肢だ。サ高住の多くは、敷地内や近隣に訪問介護などの事業所があり、入居者の安心感は高い。だが、一部のサ高住が、過剰な介護を提供しているという批判もある。介護保険の費用増大が課題となる中、厚生労働省の社会保障審議会分科会では、是正に向けた議論が進められている。

 「併設の介護事業所を必ず利用するよう求められた」「一人で着替えられるのに、介助サービスを使わされた」――。サ高住の事業者団体「一般財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会」(東京)には、入居者や家族から、こうした相談が寄せられている。

 サ高住では、介護が必要な入居者は、個別に介護事業所を選んで契約し、ヘルパーに来てもらう訪問介護や、デイサービス(通所介護)などを利用する。

 だが、サ高住の敷地内や近隣で、関連会社などが介護事業所や診療所を運営しているケースも多い。介護サービスの計画書を作るケアマネジャーの事業所を併設しているサ高住もある。そのため、入居者は併設事業所を選択しがちで、入居者の囲い込みにつながりかねない。

id=20171030-027-OYTEI50012,rev=2,headline=false,link=true,float=right,lineFeed=true

 併設事業所の中には、過剰な介護を提供するケースもあるとされる。

 介護サービスには介護保険が適用され、事業所には報酬が支払われる。報酬は原則、1割を高齢者本人が負担し、9割は介護保険財政が支出する。

 毎月10万円を支払えるサ高住の入居者を例に挙げる。家賃は9万円、介護サービスの自己負担が1万円で、計10万円。これとは別に保険財政から事業所に9万円が支払われている。

 一方、家賃を月1万円値下げして8万円、介護サービスの自己負担を2万円に増やして、計10万円にするとどうなるだろうか。介護事業所は、利用者の自己負担に加え、保険から18万円を得ることができる。

 同協会の向井幸一副会長は、「一部のサ高住が安い家賃で入居者を集め、介護サービスを過剰に提供してもうけている」と認める。

 こうした実態をうかがわせる調査もある。大阪府が2016年末に公表した報告書では、サ高住の入居者(要介護1~5)は、介護保険の支給限度額の平均7~9割程度を使っていた。

 支給限度額は、原則1割の自己負担で介護を受けられる1か月あたりの上限額だ。要介護3なら月約27万円などと、要介護度別に介護保険法に基づき定められている。厚労省によると、普通のアパートや一戸建てなどで暮らす高齢者(要介護1~5)の場合、支給限度額の4~6割ほどを使うケースが一般的だ。

 限度額いっぱいまで介護サービスを利用しても、違法ではない。しかし、必要性の低いサービスを使うことは、主に保険料と税金で運営されている介護保険の財政に、大きな影響を与える。

業界適正化目指す

id=20171030-027-OYTEI50013,rev=2,headline=false,link=true,float=right,lineFeed=true

 囲い込みや過剰介護への対策として、厚労省は、サ高住などを対象にした介護報酬の減算制度を設けている。併設事業所が訪問介護を提供する場合、報酬が1割カットされる。

 9月に行われた社会保障審議会分科会で、サ高住などの団体で作る「高齢者住まい事業者団体連合会」は、「不適正なビジネスモデルの存在は極めて遺憾」との考えを示した。その上で、防止策として、入居者の訪問介護や通所介護の利用回数に上限を設けることを提案。連合会の市原俊男代表幹事は「業界として適正化に向け努力していきたい」と話した。

 もちろん、入居者を第一に考えるサ高住も多い。宇都宮市の「サンフレンズ宇都宮」は、介護事業所を併設していない。スタッフの一人は「入居者が介護サービスを自由に選択できることが大切」と話す。

  <サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)>  2011年に施行された改正高齢者住まい法に基づく賃貸住宅。入居対象は原則60歳以上。バリアフリーで、部屋の広さは原則25平方メートル以上と定められている。スタッフによる見守りサービスがある。入居費は全国平均で月約10万円。介護事業者や医療法人などが運営し、国が建設費などを補助している。16年度末で全国に約21万戸ある。

 (板垣茂良)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

安心の設計の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、ヨミウリ・オンライン(YOL)、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事